科学が示すスーパー・エイジャーの特徴 寿命は「習慣」で変わる

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身体と認知機能の健康度は別

上述の研究結果については、特に注意しておくべき点が一つある。それは、これらが認知機能の高さとはほぼ無関係だということだ。関連性が確認されているのは、体力のみにとどまる。

体力と認知機能の高さの関連性を裏付けるメカニズムは、完全に解明されたわけではない。だが、恐らく運動により血流が改善して酸素摂取量が増えることが、脳の可塑性(シナプスやニューロンを新たに形成する機能)を高めるのだと見られている。

また、脳内で起きていること、つまり脳の状態そのものは、認知機能と必ずしも一致しないことが、過去の研究結果で指摘されている。調査対象者の剖検(病変などを特定するために実施)の結果、脳の広い範囲にアルツハイマー病の特徴(斑点や繊維のもつれ)が確認された人の中にも、認知症状や精神症状が全く、またはほとんど見られない人たちがいた。

遺伝的特徴と生活習慣の関係は、脳内で起きる現象の影響を弱める可能性があると考えられる。生前に認知症の重い症状があったにもかかわらず、脳には上記のような変化がほとんどなかった人の例もある。こうした一連の結果に見られる"意外な点"は、日常の生活習慣の重要性をさらに増すものと言うことができそうだ。

編集=木内涼子

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