ビジネス

2018.03.18

スープラ来春に復活、トヨタとBMW合同でポルシェを超える?

ジュネーブ・モーター・ショーでお披露目された新スープラ


新スープラの話は人気車種86が登場した直後に始まっていた。「ある日、仕事で欧州にいるときに内山田副会長から電話があって、『明日、誰にも内緒でミュンヘンに行け。BMWとクルマが作れるかどうか調べて来い』と言われた」と多田氏は振り返る。

どうして、BMWとコラボしたのか。それは、どこかとタイアップして作った方がより経済的に、よりいいものが作れるからだと多田氏はコメントする。

では基本構造が同じであって、どうやって商品を差別化するかというと、BMWは今までのラグシュアリーとスポーツを中心にZ4を作るのに対して、トヨタはピュアスポーツの路線で開発してきたそうだ。「ベンチマークはポルシェだった」と多田氏は言う。



ポルシェ? つまり、今回はこれだと言う特定の車種をベンチマークにしたのではなく、全体的にポルシェの乗り味を狙うそうだ。「ポルシェの走りに負けないピュアスポーツを作りたい」を言われた時、これは相当期待できそうだなと思った。

今から思い起こせば、新スープラの開発プロセスは、トヨタがスバルとコラボして86とBRZを作った時を思い出す。トヨタ86のプラットフォーム、エンジン、サスである基本構造はスバルが担当したからね。今回、BMWがやったみたいに。

「スポーツカーのビジネスは厳しい。そんなに台数も見込めないし、マニアックな部品をいっぱい作らなければならない。その割には、リターンが少ない。だから、別の会社とコラボする価値はある」と多田氏。なるほど。「でも今回、旧型の300万円台では作れないね」と残念がる。噂ではノンターボ仕様は500万円以上らしい。



話を聞く程に、改めて時代が変わったと思った。今回もリアルで乗れる前にバーチャルで乗れる。つまり、量産車が登場する2019年春の前に、新スープラが「グランツーリスモSPORT」に現れる。

86を作ったことで、世界のトヨタファンが目を覚まし、「もっと本格的なスポーツカーを作って欲しい」と大きな声があがったそうだ。待ちきれない大人が少なくないという。1年も待てない人は、2018年4月の「グランツーリスモSPORT」アップデート版でぜひ試乗してみて欲しい。僕だって、できる限り早くテストしたいな。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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