自動車部品マグナが「リフト」に200億円出資 自動運転車の開発強化

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ライドシェア大手の「リフト(Lyft)」は、カナダに本拠を置く自動車部品大手「マグナ(Magna)」と自動運転車の開発でパートナーシップを締結した。これを機に、マグナはリフトに2億ドル(約210億円)を出資する。

リフトの共同創業者兼CEOのLogan Greenは、ビデオカンファレンスの中で「マグナの自動車工学のノウハウを活かし、独自の自動運転システムの開発を目指す」と述べている。

リフトは、カリフォルニア州パロアルトにある自動運転エンジニアリングセンターで自動運転ソフトの設計をリードし、マグナのエンジニアが生産と車両へのシステムへの統合を行うという。

「我々はハードウェアとソフトウェアの開発や安全テスト、設計、サードパーティ製部品の統合などを行う。マグナは生産をリードする。彼らは自動運転システムを製造し、複数の自動車メーカーの車両に統合し、それらの車両がリフトの配車ネットワークに参加できるようにする」とGreenは述べている。

リフトは昨年、自動運転システムの開発競争に参入したが、ライバルのウーバーやウェイモらがこの分野では先行している。マグナは企業規模が大きく、世界中に自動車メーカー向けに幅広い部品を提供しているほか、車両開発も行っている。リフトはマグナとの提携で、この分野での遅れを一気に挽回することが期待できる。

自動運転システムの開発で他社をリードするウェイモは、アリゾナ州フェニックスで自動運転車による配車サービスを開始する予定だ。ウェイモのCEO、ジョン・クラフチック(John Krafcik)は今週、「アーリー・ライダー・プログラム」に申し込んだ住民に対し、無人の自動運転車による配車サービスを無料で提供すると発表した。

リフトとマグナが共同開発する自動運転システムは、マグナと取引きのある複数の自動車メーカーに提供される予定だ。「我々は、限られた少数の企業のみが自動運転システムを保有するのではなく、あらゆる自動車メーカーが自動運転車を生産できる環境を整え、それらの車両がリフトの配車ネットワークに加わるようにしたい」とGreenは話す。

リフトの配車ネットワーク拡大の狙い

Greenによると、リフトの自動運転システムを搭載していなくても、配車ネットワークに加わることができるという。

リフトは今年1月、自動運転技術を開発する「Aptiv」とラスベガスでテスト走行を実施している。この時は、Aptivの子会社である「nuTonomy」が開発した技術をBMWのセダンに搭載した。Aptivは、自動車部品メーカーのデルファイから昨年スピンオフした企業だ。

リフトのチーフ・ストラテジー・オフィサーであるRaj Kapoorによると、同社は自前の自動運転技術を開発しながら、今後もゼネラルモーターズやウェイモ、フォード、AptivやnuTonomy、ジャガーランドローバーなどと自動運転車のパイロットプログラムを継続するという。

「他社の自動運転車を我々の配車ネットワークに組み込むことが狙いだ。これと並行して、我々の自動運転エンジニアリングセンターがマグナと共同で自動運転システムを開発する。これらはいずれも非常に重要な取組みだ」とKapoorは言う。

ウーバー同様、リフトもカーシェアリングや自動運転車の普及によって車の個人所有が減ると予測している。

「我々は業界構造を車の保有を前提としたものからサブスクリプションを前提としたものへと変革していく。自動運転車は、我々が新たな歴史を踏み出す上で重要な鍵になるだろう」とGreenは述べた。

編集=上田裕資

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