元シールズ隊員が明かす、変化を乗り切るリーダーの10原則(下)

(Photo by U.S. Navy via Getty Images)

米海軍特殊部隊「ネイビーシールズ」での経験から筆者が生み出した、変化を乗り越えるリーダーとなるための10の原則。前編記事に続き、後編では残る5つの原則を紹介する。

6. 伝達:ビジョンを伝える

ビジネスリーダーに不足しがちなのは(自分自身もそうだったから言えるのだが)、組織の力強いビジョンについてのコミュニケーションだ。特に、そのビジョンの達成にあたり大きな変化が伴う場合はこれが重要だ。

コミュニケーション不足よりもさらに悪いのが、整合性のないビジョンを伝えてしまうこと。整合性を取りつつ、早い段階から公式・非公式なコミュニケーションを密にとる必要がある。

変化についてのコミュニケーションは、整合性と真実味があり、継続的で、さまざまな方法で行われなければならない。ストーリーテリングは非常に重要で、上手くやれば、チームは勝利の姿を想像でき、感情面でも自分たちと任務をつなげることができる。

■変化の戦いに勝利する

7. 包摂:参加と積極的関与の力

ギャロップが昨年実施した国際調査によれば、仕事に積極的に関与している従業員の割合はたった15%だった。積極的関与とはつまり、感情面で仕事と深く結びつき、自分の言動がどのように共通目的や任務の成功と整合しているかを理解できていることだ。

私はいつも冗談ながらに、シールズ隊員の従業員関与度は100%だと言っている。隊員の全員が、世界から悪を排除しこの偉大な国を守るという任務に、感情面でのつながりを感じているのだ。

職務に積極的でないとされた67%の人々の存在は、問題であると同時に、機会でもある。これを機に、文化管理や従業員の関与度をマネジメントの再優先事項にすることができる。ただし、積極性とは最終的には個人の選択によるものであり、規律が必要なほか、時には指揮系統の下部からの管理が必要となる。

8. 疲労:恐怖を管理し、エネルギーを維持

正直言って、組織上の変化はひどい経験になり得る。シールズで私たちが言うのは、ひどい経験は受け入れるしかない、ということ。私たちは毎日のように悲惨な状況に身を任せ、自分のコンフォートゾーン(居心地がいい範囲)を押し広げている。

恐怖や、私が「変化の戦い疲れ」と呼ぶものは、どんな変化に向けた努力でも障害になり得る。しかし、恐怖を緩和し、チームのやる気を保つために次のような方法もある。

まず、チームがやる気を見いだせるような、明るい未来に向けた力強く整合性のあるビジョンに立ち返ること。次に、あらゆる階層からできるだけ多くのチームメンバーを計画段階で巻き込み、承認を得ること。

そして、短期的な勝利の数々を特定して祝うことで、目に見える進歩を示し、チームのやる気を保つこと。最後に、ストーリーテリングのプロセスを終始一貫して維持すること。これにより、たとえ苦しい時でも、全員が自分とビジョンとのつながりを感じ続けることができる。
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編集=遠藤宗生

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