これに対し、ロシア政府は関与を強く否定。メイ首相の英議会での批判を「サーカスのショー」と言い放った。だが、消息筋によればこの事件で確認されたあらゆる証拠が、同国の関与を示唆しているという。そして、それらは18日に実施されるロシアの大統領選を前に、数多くの厄介な問題を引き起こしている。
ロシアの反体制派の一人が英国内の公共の場で命を狙われたこの事件は、広く国際的な注目を集めている。ロシアの“ならず者”たちによる犯行との見方もあれば、ウラジーミル・プーチン大統領が背後にいるとの指摘もある。
殺害がプーチンの指示によるものであることを示す明らかな証拠はないが、犯行にロシアで開発されたと見られる軍用レベルの神経剤が使われていたことは、プーチンに相当のリスクをもたらす要素であることは間違いない。
プーチンがあえて欧米と対立する問題をつくり、選挙の投票率を引き上げようとしたとの見方もある。事実であれば、ロシアは今後、国際社会からのさらなる孤立と、制裁の強化に直面することになるだろう。ロシア国民の多くは、これらのいずれも望んでいない。また、ロシアの一部メディアはこの事件について、欧米の「陰謀」だと主張しているが、それもプーチンに対する国際的なイメージをさらに悪化させるだけだ。
調査結果
米調査機関ピュー・リサーチ・センターは昨年8月、各国の市民のプーチン大統領に対するイメージに関する調査を実施した。今回の英国での事件が起きるずっと以前に行われた調査の時点でも、プーチンは世界の大半の国で、非常に不人気なリーダーであることを示す結果が出ていた。
例えば、2010年にポーランド大統領と数十人の政府関係者を乗せた航空機がロシアのスモレンスク近くで墜落した事故を受け、ポーランドとロシアの関係は急速に悪化。プーチン大統領の国際問題への対応に関する質問に対し、「指導力を信頼していない」と答えた人は、ポーランド国民の89%に上っていた。
以下、その他各国での調査結果(プーチン大統領の指導力を「信頼しない」と答えた人の割合)を紹介する。
・ポーランド─ 89%
・スペイン─ 88%
・フランス─ 80%
・英国─ 76%
・カナダ─ 74%
・ドイツ─ 74%
・米国─ 74%
・オーストラリア─ 70%
・日本─ 64%
・ブラジル─ 60%
・ナイジェリア─ 29%
・インド─ 13%