ビジネス

2018.03.27

これからの「デジタル人材」に求められること

Rawpixel.com / shutterstock

日本でも過熱する一方のデジタル人材争奪戦だが、テクノロジーの進化とともにその“デジタル人材”の定義が変わりつつあることをご存じだろうか。

キャップジェミニとリンクトインが行った共同調査によると、調査対象企業の半数以上では「デジタル人材ギャップ」が広がりつつあるという。では、いま求められる人材像、そして、その能力を活かすために必要な組織の構成要素とはどういうものか? マーケティングの例をあげて考えてみたい。

マーケティングツールが150種類にも満たなかった2011年、業務の中心は一つひとつのテクノロジーを最適化することであり、当時デジタルに強いとされた人材は、特定のデジタルテクノロジーの専門家だった。

しかし、わずか6年後の2017年、マーケティングツールは5000種類を超え、特定のテクノロジー、例えばSEOやマーケティングオートメーションだけを知っていることでは十分な成果をあげることは不可能になった。現在のビジネスにおいては、増え続けるツールやシステムをリアルタイムにまとめ上げることに加え、カスタマーエクスペリエンスや収益、さらにブランディングなど、ビジネス全体を横断的にとらえ最適な結果を導き出せるデジタルスキルを備えたリーダーが求められている。

そんな中日本でも、全社的なデジタルトランスフォーメーションを組織を横断して担当するリーダーとして、チーフデジタルオフィサー(CDO)を置く企業が出はじめている。

そのうちの一人、日本ロレアルCDOの長瀬次英氏は「個別のテクノロジーについて概要を把握しつつも、全体を見渡せるリーダーが必要だ」という。米chiefmartech.comの運営者スコットブリンカーも著書「ハッキング・マーケティング」の中で、今後は全体像が見渡せてかつ特定得意領域をもつ“T型人材”の需要が高まると指摘している。

CDOなどのデジタルリーダーは、例えるならオーケストラの指揮者と言えよう。さまざまな最新の楽器が登場し、奏者が増え続けるデジタル時代のオーケストラだ。奏者がいなければ音はでない。しかし、指揮者が不在ではオーケストラは成り立たないのだ。

では、さまざまな楽器を奏でる奏者が一丸となって、壮大なオーケストラ楽曲とするためには何が必要だろうか。デジタル人材を活かし、変革を進める組織に必要な4つの構成要素は以下のようにまとめることができる。

これまでは、どんな楽器(テクノロジー)を使うのか、あるいは楽器の奏者(特定テクノロジーのスペシャリスト)を誰にするのかが注目の焦点だった。

しかし、その楽器やスペシャリストが増えた現代においては、楽譜(全体最適の羅針盤)に沿って、指揮者(リーダー)の元にまとまらなければ、素晴らしい楽曲を奏でることはできなくなっている。良い楽器も、立派な奏者も、楽譜がなく、曲の全体像が見えなければ十分な力が発揮できず、不協和音になってしまう可能性が高い。

あなたの会社でデジタル人材を育成・雇用し、デジタル変革を推進したいと考えているならば、これらの4つの構成要素から、自社のオーケストラのあり方を見直してみてはどうだろうか。

連載「企業がデジタルマーケティングを成功させる秘訣」
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文=斉藤梨沙

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