私が米海軍に所属していた際、「馴染めないから」という理由で選抜・訓練プロセスから落とされる候補者がいた。スキルもあり有能だったが、大規模なチーム文化に馴染まない態度を持った人たちだった。なぜか? それはそうした候補者が以前からのアイデンティティーを「持ち込んで」いたからだ。井の中のかわず状態に慣れ切ってしまい、その感覚を手放すことを拒んでいた。
私の指導経験から言うと、持続可能な成果を挙げるために最も重要なことは「マシュマロ」を掘り出すことだ。チームのアイデンティティーは、メンバーの行動や関係性、決断、成果を左右する。
冒頭で述べたコスト対ブランドのジレンマを考えたとき、チームが結論を出すのを阻んでいたものは何だろう。それは貢献だ。メンバーはチームとして団結して取り組むよりも、個人のアイデンティティー管理に集中し、個人の貢献度が制限されていた。
自負心と権力闘争は、いかなるグループのパフォーマンスも損なう。共通のアイデンティティーがなければ、共通の目的は持てない。ちなみに、幼稚園児のグループが建てたマシュマロタワーの高さは、MBA学生チームのものよりも平均して2.5倍の成績を一貫して出していた。