世界192か国、43言語でクラウドベースのラーニングおよびタレントマネジメントソフトを提供するコーナーストーンオンデマンド。来日中の同社シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーのチラーグ・シャーが、人財の可能性について語ってくれた。
イノベーションはテクノロジーではなく、人が生み出すテクノロジーの進化によって、今後、数年間で、社会の産業構造は劇的に変わっていくだろう。時代の主役に躍り出るのは、AIを搭載したロボットだろうか。それとも金融市場にインパクトを与え続けるブロックチェーンだろうか。コーナーストーンオンデマンドのシニアバイスプレジデント、チラーグ・シャーは、その問いに対し、明確な答えをもっている。
「ギャラップの調査によると、組織に対するエンゲージメントが高い日本のビジネスパーソンは、わずか6%に過ぎないという結果が出ています。その理由のひとつとして、テクノロジーの進化によって、企業はどう変わるべきか、従業員はどう働くべきか、双方とも将来へのヴィジョンが描けていないということが挙げられるでしょう。
こうした状況下で経営者サイドが留意しなければならないのは、新たな時代に対応できる人財の育成。一方、従業員側には環境の変化に対応できるスキルを身につけようとする意識が必要です。これが双方の相互性を高めます。
テクノロジーが会社を成長させるのではなく、人の力が次世代のイノベーションを生み出すということに気づけば、自ずと企業が進むべき道も見えてくるでしょう」
同社は、「スキルが経済価値を生む新しい社会の創造」をコンセプトに、人材を会社の財産、つまり人財として位置づける。どのような時代であっても社会に貢献できる専門性、創造性、モチベーションを備えた人財開発に重きを置くラーニングカンパニーとして、世界中の多種多様な企業を支えている。
同社の2017年の売り上げは5億ドルを超え、現在の顧客数は全世界で約3300社にものぼる。そのなかには、商品開発に革命をもたらしたマクドナルドや、新規ビジネスを次々と立ち上げる日立製作所など錚々たる企業が名を連ねている。
将来を見据えた学習プログラムを社員に提供することが企業の命題「営業は営業、経理は経理ができればいいという時代はすでに終わっています。縦割りの業務は、しばしば摩擦を生む。これからの時代、営業や経理にもエンジニア的な視点が要求されますし、エンジニアは費用対効果の知識をもたなければなりません。
各部門のリーダーは他部署のリーダーと緊密な連携を築き、部署間を越えて、社員の可能性にまず着目すべきです。例えば、経理部門の社員がコンピュータプログラムのスキルを向上させたいと考えたとき、リーダーは会社全体の生産性を考え、再教育の場を彼に与えなければなりません。
縦割りの会社ではこういう発想は生まれません。会社の成長と人財の育成は同じベクトルで見るべきなのです。テクノロジーが進化する時代において、こうした関係性の構築は絶対に必要です」
AIが主流となる時代ではどんな産業においても、そのテクノロジーの可能性を把握するために、より高度で専門的な知識が求められるようになる。こうしたスキルが備わってこそ、新たなニーズだけでなく、現在見逃してしまっているニーズさえもとらえることができるのだ。