売上200億円突破、ブラジルの「トラック版ウーバー」CargoXの躍進

courtesy of CargoX

アメリカでは、トラック運送にテクノロジーを融合させる競争が激化している。そんな中、ブラジルではスポットライトから隠れるようにして急成長を遂げているスタートアップがある。その企業の名は、「CargoX」。設立から6年で、年商は既に2億ドルに達しようとしている。

Federico Vegaが創業したCargoXは、2011年の設立からわずか数年で、ブラジルのトラック運送業界でトップ10に入るまで成長した。ブラジルのトラック運送業界は市場規模が世界で3番目に大きく、トラック台数は260万台に達する。

例えば、ユニリーバのような企業が緊急で貨物を配送したい場合、CargoXのアプリを使えば簡単にトラックを手配することができる。CargoXは輸送に加え、リスクや保険にも対処し、報酬として15%の手数料を得る。

「アメリカの起業家たちは、次のフェイスブックを作ることを目指しているが、南米ではトラック運送のように古くて巨大な産業が手つかずの状態となっている。南米出身であり、テクノロジーの知識もある私は、この分野に参入する上で有利だと考えた」とVegaは話す。

Vegaはブラジル人ではないが、新たな分野や地域で挑戦することには慣れている。彼は学生時代、アルゼンチンのパタゴニアにある小さな町を出て、900マイル以上離れたブエノスアイレスまで自転車で移動した。その後、スペインを経由し、自転車でイギリスに渡ってノリッチで自転車修理の仕事に就いた。

彼はサウサンプトン大学で修士号を取得後、JPモルガンに入社したが、3年後に独立して小さな家を移動する会社を設立した。JPモルガンの上司はVegaの才能を見込み、出資を申し出たという。Vegaはロンドンにあるアパートを売却して会社の立ち上げ資金を工面した。

その後、事業は現在のCargoXのモデルへと発展した。Vegaは、南米における最大のチャンスはブラジルにあると確信したが、ブラジル経済が不況にあえぐ中、現地の投資家はアルゼンチン人であるVegaへの出資を拒んだという。
次ページ > 株主にはクアルコムの名前も

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事