トニーが間違った場合は毎回その場で訂正し、にらまれても気にせずほほ笑もう。トニーが夢の世界にそれていきそうになったときにあなたが一貫して訂正を続ければ、徐々に落ち着くはずだ。そうでなければ、彼は続かないだろう。
自分の仕事をこなし、平静を保つこと。自分が間違ったことを言ったら知らせるようにと命じつつも、自分が話しているときは割り込むな、といった両立不可能な彼の要求は相手にしないことだ。
論理と健全なコミュニケーションを維持し、トニーが間違ったときだけ訂正する。尊敬する人が誤った発言をしたとき、丁寧に訂正するのと同じ要領だ。
ここではその会話例を2つ挙げる。次の例は、あなたが母とおばと美術館を訪れたときを想像して読んでほしい。
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母:古典の巨匠から始めて、それから現代美術に移動しない?
おば:私のお気に入りの画家はクロード・モーネットなの!
あなた:私もモネの大ファンです。この美術館にはモネの作品が4つありますよ。
おば:訂正してくれてありがとう。全く私ったら、とんだ世間知らずで……。
あなた:そんなことないよ、おばさん! まずはクロークに傘を預けよう。
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トニーが間違ったときは、美術館でおばの誤りを直したように、恐れず勇敢に訂正する。そうすれば、彼が再度誤った情報を述べたとしても、あなたが自分を見捨てたと責めることはできない。もちろん、トニーを訂正するのは常にあなたでなくても良い。負担を共有してもらうよう同僚にも頼んでみよう。
次の例は、質問を通してトニーを正しい情報へと誘導する方法だ。
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トニー:次の四半期の売り上げ目標を達成するには、X-27製品の発売日を変えなければならないな。
あなた:そうですね、でもちょっと待ってください。X-28製品のことではないですか? もしかしたら私が混乱してるのかも。
同僚:合ってますよ。X-28です。
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こうして他者に異議を唱えるのは厄介なことなので、大きなストレスになるかもしれない。しかし、それは相手の考えていることを気にし過ぎているからにすぎない。
あなたはとても良く業務をこなしている。訂正されたトニーが明らかにいら立っていても、心配しないこと。トニーにたわ言ばかり言わせていては、あなたは仕事をしていることにならない。
ほほ笑みを浮かべて一息つき「すみませんが、〇〇のことではないでしょうか」と言おう。しかめっ面を向けられても無視すること。あなたはトニーの子分ではなく、技術を備えた専門家なのだ。