「寝る間を惜しんで」は逆効果 成功への近道は十分な睡眠

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カルピンは前述の著書の中で、ビジネスの場面で下される主要な決断の種類を3つに分類した。1つ目は決まり切ったルーティンのような決断だ。退屈・単調で、自動的に決断できるようなもので、学習も容易だ。毎日決められるようなことで、ほとんど考えることなく短時間で決定されることが多く、決断とさえ思われないことが多い。

2つ目の決断は、大量の情報を集めて処理する複雑なタスクの中で起きるものだ。だがそのアプローチや決断は比較的規則ベースであり、過去の成功体験に基づいた「収束的思考」を必要とする。IQ(知能指数)テストがこれに当たり、その他には四半期の予算リポートの作成や不具合のある機械の修理などが含まれる。

最後の決断の種類は、「発散的思考」に重点を置くもの、あるいはそれのみを使用するものだ。こうした決断には高いレベルの創造性、イノベーション、柔軟性をもった思考が必要となる。多くの場合、以前同じ状況を経験したことがないので、以前の知識を活用することはできないし、すべきではない。こうした決断は、危機的状況や予期せぬ事態で下されることが非常に多く、いちかばちかの選択になることが多い。カルピンは次のように補足した。

「組織の上級職になればなるほど、この種の決断が増えることを強調しておきたい。流動的で不確実、複雑・曖昧を極める世界で働くトップ層のリーダーは、少ない情報でビジネスを行うことが増えている。急速に変化する環境では、物事のやり方を示した『青写真』なしに情報の正確性を判断するのは難しい」

さらにカルピンによると、ハルト・インターナショナル・ビジネススクールのプログラム「アシュリッジ・エグゼクティブ・エデュケーション」の同僚と共同で実施した調査では、「発散的思考の必要性に頻繁に直面しているであろうこれらの上級リーダーは、一晩の睡眠時間の自己申告数が最も少ない」ことが分かったという。

では、どうすれば良いのだろう? カルピンは、組織・個人の両側面からの介入を組み合わせることを提案する。
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編集=遠藤宗生

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