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未来の大学で出会った「新しい学びのかたち」

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スペースXやテスラのCEOを務めるイーロン・マスクは、40代にして時価総額数十億を超える規模の会社を4つ、しかも宇宙やエネルギーなど、それぞれ異なる分野で立ち上げて成功しています。

彼の学習方法は、幼い頃から幅広い学問を学び、数多くの本を読んだことで有名です。そうして得た科学、数学、哲学、文学などの基本原則を、テクノロジーや宇宙ビジネスの分野に当てはめることで、革新的なアイディアを生み出してきたと言えます。

このような“広く深い”知識やスキルを持ち、さまざまな分野に精通する「エキスパート・ゼネラリスト」が、いま注目されています。エキスパート・ゼネラリストとは、“広く深く”考えるT型人材として、「より多くの異なる学問分野、産業、国やトピックなどの専門知識をマスターし収集する能力と、好奇心を持ち合わせる人物」と定義されます。

ビル・ゲイツからの若者へのアドバイス

近年、エキスパートになることが、グローバル化するコスト削減時代で生き残る手段であるとするトレンドがあり、能力の習得に10年ほどの訓練が必要とされるエキスパートが注目されていました。

しかし最近では、「訓練は重要だけれども、これまで議論されてきたほど重要ではない」という研究結果も出はじめています。プロフェッショナルの世界は常に変わりやすく、訓練の積み重ねがパフォーマンスに寄与した割合はたった1%にしか過ぎないというデータもあります。

こうした素早く変化する時代においては、いかにその変化に対応していけるかがカギとなるため、1つの道を極めるエキスパートでは取残されてしまうのです。しかも、人工知能やロボットは簡単に人間の記憶力と情報処理能力を追い越し、エキスパートを越えていってしまいます。

そこで、ある分野に創造性を与えられる存在であり、かつ複数分野に精通する”広く深い”スキルを持ったエキスパート・ゼネラリストが注目されるようになってきたと言えるでしょう。

ビル・ゲイツは今年2月、フェイブスックのマーク・ザッカーバーグCEOからの「若者に1つだけアドバイスをするとしたら、どんなことを伝えますか?」という質問に、次のように答えました。

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Photo by John Lamparski/Getty Images

「私は、これまで高いIQを持っている人は、どんなことも解決できると思っていた。でも、異なる幅広いスキルを持ち、それらをつなげる力を持った人が全てを解決できるのだと驚かされた。このことをもっとよく知っておくべきだったと思っているよ」

そして、「幅広い分野でたくさんの才能を養うことが、人を真の意味で成功に導く」と、若者に対してエキスパート・ゼネラリストとなることを奨励しました。

最低3つの専門領域を築く

では、エキスパート・ゼネラリストとなることでどのような活躍ができるようになるのでしょうか。具体的には以下3つをあげることができます。

1. 特定の分野やコミュニティに偏るバイアスの影響を受けにくいことから、より正確な予測、判断ができる。
2. ある分野で上手くいった事例を別の分野に横展開で生かすことで、画期的なアイディアを生み出せる。
3. エキスパート・ゼネラリストが異なる分野の人たちのコネクターとなって繋ぐことで、よりオープンなネットワークを築ける。

とはいえ、このようなエキスパート・ゼネラリストには、イーロン・マスクのような特別な人だけがなれるのでは? と思う人もいると思います。でも実は、エキスパート・ゼネラリストになるための学習方法やキャリアの築き方は、誰でも実践できることなのです。

文=橋本智恵

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