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次なる資本主義をたずねて


岩佐:なるほど、だから「鎌倉資本主義」では「資本主義」という言葉がそのまま残っているんですね。では、こうした活動を行う動機は?

柳澤:単純に、社会をよくするのが面白そうだからですね。「面白法人カヤック」は自分たちが面白いことをやりたいという動機で立ち上げましたが、世の中をより面白くする使命もあると思っています。

鎌倉という地域にフォーカスした理由もここにあります。僕は面白いことをするためには誰と何をするのかという「人」の部分が大切だと思っていますが、色々な活動をやってみて地域にフォーカスすることで「人」がよく見えるようになることに気づいたんです。



貨幣をベースにした資本主義がグローバルに拡大したことで、貨幣の先に誰がどう活動しているかが見えないし、匿名性ゆえにひどいこともできてしまう。でもそれが見えていれば、世界はあまり悪い方にいかないんじゃないか。だから地域コミュニティの特徴は人の顔が見えやすくすることで、グローバルとは真逆の地域に根ざした資本主義をやれば新しい希望が見えてくるのではと考えたんです。

岩佐:グローバル化する資本主義に対して、新たな資本主義の可能性を探すために「地域」にフォーカスしたいというのはわかりました。では、なぜ「鎌倉」を選んだのでしょうか。

柳澤:なんとなく、かもしれませんね。ただ後から言語化してみると、鎌倉は歩ける範囲に自然と文化施設があるおもちゃ箱みたいで、いろんなコラボレーションが生まれやすいというところかもしれません。その一つが、鳩サブレーで有名な豊島屋とのコラボで作った「まちの保育園 鎌倉」です。

岩佐:他の地域に比べると観光資源が豊かな鎌倉は、新たな魅力を作り出しやすそうですね。

柳澤:地域によって異なる魅力があるように、抱える問題も全く違うんです。鎌倉は観光地は多いですが、大きな産業があるわけではありません。

でも、正直にいえば地域ごとの「魅力」はなくても構わないと思っています。地方創生では地域の魅力を観光資源にした地方が取り上げられることが多いですが、それもGDPと同じで一つの指標に過ぎません。それがなくても地域に関わる人が楽しめれば問題ないんです。お店や観光資源がなくても暮らしを「面白がる」ことはできるし、それを実現するのが鎌倉資本主義だと思っています。


「資本主義を否定せずに新たな幸福の指標を探す」という壮大な構想を語った柳澤。第2回ではこれからの「企業」と「地域」の関わり方が語られる。企業が国家をも超える力を持つ21世紀に、企業は何をすべきなのか。

岩佐文夫の『次なる資本主義をたずねて』
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編集=フォーブス ジャパン編集部 写真=松本昇大

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