いざフォーミュラE参戦 日産が狙うは「ミレニアル世代」

フォーミュラE 2018-19年シーズンに投入される日産のレースカー(筆者撮影)



(写真=日産提供)

日本で開催するとしたら、例えばお台場を含む東京臨海地区、横浜などが考えられるものの、モータースポーツが斬り込むには規制が厳し過ぎるのが現状だ。もし日産がフォーミュラEに参戦すれば、実現への意欲や可能性も高まるかもしれない。

スタートしてから4シーズンが経過しているフォーミュラEでは、 参加する全チームに同一スペックのカーボンファイバー製シャシーが供給される。それをどんなモーター、電子系統、インバーターやギアボックスを使ってライバルに勝るマシンに仕上げるかが各メーカーの裁量で、勝負のポイントだ。

日産が参戦を決めたのは、バッテリーのパワーと航続距離が各段に増したことが影響している。5期目となる2018年に使われる各マシンは、これまでの倍のエネルギーを蓄えられる。つまり、これまでレースの中盤でマシンを乗り換えるという、興ざめしがちなピットストップが必要なくなるわけだ。

これは観戦客にとってもポジティブな効果があるはず。レースの途中でバッテリーが切れてしまうマシンから、ドライバーが2台目に乗り換えるという光景は、現行のEVの航続距離に不満を抱く人たちに「だからEVはなぁ」と思わせてきたが、それを打ち消すことができるだろう。

「バッテリー・パワーの増大、そして航続距離が伸びたことで、フォーミュラEへの期待がぐっと高まるはず。レースで観客がEVのエモーショナルな魅力を目撃できるようになります。これは、日産も他のメーカーももっとプッシュすべきこと。EVが信頼できる選択であることを認知してもらえるようにね」と、カルカモは力説する。

その通りだ。レース車と市販車は互いに影響し合っている。もし、シリーズ参戦によって日産がリーフやこれからのEV車両の航続距離を倍増できるなら、彼が言うように若い層にアピールしながら、EVへの懐疑的なモヤモヤをも払拭できるはずだ。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事