2つの形で貢献
スミスは個人的に寄付を行うほか、2014年に自ら設立し、理事長を務めるファンド・トゥ・ファンデーションを通じた慈善活動も行っている。
個人的にはこれまでに、首都ワシントンにある国立アフリカ系米国人歴史文化博物館に2000万ドルを寄付。アフリカ系国民の歴史の保存を目指すデジタル化プログラムを支援するなどしている。そのほか、米前立腺がん基金には250万ドルを寄付し、黒人男性を対象とした研究や、前立腺がんを患う黒人の退役軍人の支援を後押ししている。
一方、ファンド・トゥ・ファンデーションは、ビスタが偶発債務に備えて準備した引当金のうち、実際には債務返済に充てられなかった分を公共の慈善団体に寄付する。これまでに、乳がんの研究や啓発活動に2700万ドルを寄付したほか、国連児童基金(ユニセフ)とコーネル大学にそれぞれ5000万ドルずつを寄付するなどしている。同大学への寄付は、工学部で科学研究に取り組む女性やマイノリティーの学生数を増やすことを目的とする。
新世代の黒人企業リーダー
歴史家で国立アフリカ系米国人歴史文化博物館のロニー・バンチ館長にとって、スミスはアメリカン・エキスプレスのケネス・シェノルトCEOやタイム・ワーナーのリチャード・パーソンズCEOの後に続く黒人企業リーダーの「新たな世代」の象徴だ。
バンチはスミスについて、「テクノロジーを理解する新しい世代だ。アメックスやタイム・ワーナー(に所属するの)ではなく、本来の自分でいられる自由を手に入れた世代だというところが素晴らしい」と語る。「成功した実業家であることを誇りに思うことができる世代だ」という。