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放送作家・脚本家、「くまモン」の生みの親。

天草市内を旅しながらイラストレーターが描いた名所や魅力的な風景が、名刺100枚を飾る。

放送作家・脚本家の小山薫堂が「有意義なお金の使い方」を妄想する連載第31回。業務報告だけする朝礼なんて時代遅れ。筆者の会社で10年続く朝礼は企画者を育てるのに有効な秘訣があった……。


「朝礼をやっている」というと驚かれることが多いのだが、ここ10年、毎週月曜日の朝10時から企画会社の「オレンジ・アンド・パートナーズ」とクリエーターズオフィスである「N35」の合同朝礼を行っている。

最初に僕の話、次に副社長の話があって、前週に指名された今週の当番が「心が動いたちょっといい話」をし、最後に全員が今週の「これ応援してね」と「プチ情報」を発表する、というのがおおまかな流れだ。短くて30分、長いときは1時間弱を惜しまず費やしている。

「これ応援してね」は、「今週一週間の自分のクライマックスは何か?」を発表する場である。例えば「火曜日の朝11時から◯◯でプレゼンがあります」「××社と企画していたイベントが木曜日から始まります」などと発言すると、みんながそれを頭の片隅に入れ、その曜日や時間になったら心の中で「頑張って!」と応援するのである。

どれほどの社員が実際にそうしているかはともかく、仲間の今週のクライマックスを互いに認知するだけでも心がひとつになるんじゃないかな、と考えている。

「プチ情報」のほうは、他人と共有したい話をおもしろく喋るというもの。先日はある社員が映画コメンテーターの LiLiCoさんについて「スウェーデンにいたころはテレビ局が2局しかなく、いつも映画館に行っていた。18歳で初来日したときに初めて観た映画が伊丹十三監督の『タンポポ』で、あまりのエロさにひっくり返った」という話をしてくれた。

何の役にも立たないかもしれない、でも本人がハッとしたという話を20人からひとつずつ聞いたら、その時点で20コの持ちネタができる。そのネタのひとつが心のどこかで引っかかっていたら、いずれ企画のヒントになるかもしれない。

連載第30回にも書いたが、ひらめきやアイデアは自分の脳に蓄えられている知見と、五感から入ってくる新たな情報との化学反応だと思う。20コのささやかなネタも、いつ化学反応を起こすか知れないのだ。

仕事人としての使命を考える

ところで、その朝礼で昨年末、僕は「企画者の使命とは何か?」という話をした。

EXILE THE SECONDのメンバーのひとり、黒木啓司くんと天草で過ごした日のことだ。彼はサインをねだられても写真撮影をお願いされても、ひとつも断らない。昼食時にラーメン屋に入ったときなど、店主のおばあちゃんが「もしかしたらあなた、人気がある人ね? 孫に写真ば送ってあげたいけど、カメラ持っとらんけん……」といい、「そうだ!」と隣の写真店の奥さんを連れてきての撮影と相成ったのだが、その間も彼は笑顔でずっと待ってあげていた。

すごいなあと感心して、「こういうのでイライラすることってないんですか?」と尋ねると、「使命だと思うんです」とさわやかに答えるではないか。

27歳でJ Soul Brothersのメンバーに抜擢されるまで、黒木くんはガソリンスタンドや集配のアルバイトを掛け持ちし、調理師免許を取得してレストランの厨房に立ったこともあるそうだ。ダンスで身を立てるという夢、「いつかあのスターの座に自分も上りつめるんだ」という想いを彼はついぞ諦めなかった。

イラストレーション = サイトウユウスケ

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