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もちろん、答え方には文化的背景の違いが表れることもあるので、一概にこの結果がすべてとは受け止められないとは思います。日本人は自分のことを控えめに話すところがあるので。でも、それにしたってこれは大きな差ですよね。

「クリエイティブ」って、別に「つくること」を仕事にする人だけに必要なことではないじゃないですか。「これは国として大変だ!」と思ったわけです。

さらに、今年1月に発表した日本の教員・教育政策関係者を対象に行ったアンケート調査では、「創造的問題解決能力」育成の妨げとなっている要因として、「(教員自身の)ツールや研修、知識習得の機会が十分ではないと感じている」と答えた割合が、日本では約80%と、他国と比べて圧倒的に多かったのです。

教育者の方々は教えることに長けている人たちだと思います。ただ、この激動の時代、どうしても教え方が追いつかなくなっていくのは仕方がないことじゃないかと。であれば、産学一体となり、子どもたちがクリエイティブの成功体験を得られる場を提供していく必要があるのではないか、と考えました。

今回気仙沼で実施したデザインワークショップもそのひとつです。気仙沼市立唐桑中学校の美術の先生が外のエネルギーを取り込むことに非常に前向きな考え方をお持ちの方で、4時間の授業の枠を使って、実施することができました。気仙沼のオリジナルパッケージをつくるというお題を、東北にゆかりのあるプロのクリエイターと中学生がチームを組んで、地域の魅力の詰まった町ブランドの紙袋をデザインしました。


いまの社会に対して抱いている違和感を、周りに伝えていくことをいつも大事にしているという。

──今回、開催地が気仙沼だったのは、やはり震災があったから?

そうですね。もちろんタイミング的なものもありましたが、やはり2011年の震災以降、「復興、復興」と言われ続けてきたものが、少しずつ断ち切られていくような感覚もあると地元の方々から聞いていたので。

なおかつ、今回に関しては、もともと東京で活動していたデザイナーさんで、震災を機に向こうにUターンされた方がいました。「デザインの力」で町に対してできることが多いはずという想いを持ってUターンされたのですが、なかなかデザインというものを理解してくれる環境が整っていないということで、とても苦労されていました。その彼女から相談を受け、ビジョン共有をし、パートナーシップを組むことになり、地元コミュニティーを巻き込んだ今回の気仙沼での実施へとつながりました。

アドビが地方を訪ねて一発の花火を打ち上げて帰ってくるようなイベントでは意味がないと考えています。その先に、地元で活動している人がローカルヒーローとなり、さらに活躍しやすくなるものでなければ継続性のある未来は描けません。

なので、そういった活動をされている方々との掛け算をする際に、とにかく大事にしているのが「Why」です。「なぜそれをやるのか」が明確にあるかどうか。私が持っている「なぜ」と、彼らの持っている「なぜ」が一致するかどうか。

今回の気仙沼のケースもそこが一致した結果です。結局のところ、ビジョンの共有されたものが熱量を生み、アドビが抜けた後も持続するエネルギーにつながっていくのだと考えています。


「Design Jimoto Student with Pensea Next Switch in 気仙沼」。唐桑中学校の2年生41名が8チームに分かれ、町ブランドの紙袋デザインに挑戦した。Movie by 菅原結衣

聞き手=丸山裕貴(BNL)、九法崇雄(Forbes JAPAN) 文=鈴木陸夫 写真=西田香織

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