余ったOLEDは競合メーカーに
一方で、サプライヤーに対して実需をはるかに上回る生産体制を要求することは現実的でない。iPhone X用のOLEDディスプレイパネルを供給しているサムスンディスプレイは、余剰キャパシティをアップル以外の企業に割り当てる予定だ。このため、今年はミッドレンジからハイエンドまで、多くのAndroid端末がOLEDスクリーンを搭載し、iPhoneの優位性が損なわれる可能性が高い。
また、アップルがバッテリーの劣化したiPhoneのCPU処理速度抑制を行っていた問題もアップルの業績に大きな影響を与えることが予想される。バッテリー交換価格を29ドルに値下げしたことでユーザーの怒りは収まったかもしれないが、高額な新端末への買い替えが先送りされたことで、業績面で打撃を受けるのは必至だ。
アップルが、長期的な影響を考慮した上でバッテリー交換価格の値下げに踏み切ったかどうかは、かなり疑問だ。先日の決算発表でティム・クックは、「我々は顧客にとって正しい選択をしたが、今期の業績にどのような影響を及ぼすかは判断がつかない」と本音を吐露している。
今のところ、アップルの売上高も、iPhoneの平均販売価格も増えており、四半期記録の更新が続いている中でこれらの点が問題視されることはないだろう。しかし、アンドロイド端末との機能面での差別化や、市場シェア、販売台数が縮小傾向にあるのはまぎれもない事実だ。
iPhone Xの投入で2018年の売上を拡大する計画はもろくも崩れた。ティム・クックは大型端末やiPhone Xの進化版を9月に投入する計画のようだが、過去2回のプロダクトサイクルと同じ試みが通用するとはとても思えない。