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2018.03.09

iPhone X不振で「OLEDの供給過剰」に、競合メーカーには吉報

Tatiana Dyuvbanova / shutterstock.com

iPhone Xの売れ行きが、アップルの予測を大幅に下回っていることが明らかになりつつある。昨年9月のリリース当初、iPhone Xは端末アップグレードの「スーパーサイクル」を喚起し、ここ数年のiPhoneの減速を一気に挽回することが期待された。しかし、アップルの狙いは大きく外れた格好だ。

iPhone Xの不振は、サプライヤーにも大きな影響を与えている。「フィナンシャルタイムズ」のBryan Harrisは次のように述べている。

「サムスンは過剰生産能力に悩まされており、最先端技術の設備投資を大幅に削減する見込みだ。iPhone Xは価格設定が高かったため、売れ行きは期待を大きく下回っている。このため、少なくとも今年前半はサムスンの生産設備に余剰キャパシティが発生することになる」

アップルが、今年第1四半期のiPhone Xの出荷台数をどの程度見込んでいたかは不明だが、フォーブスのChuck Jonesは、過去データの分析から2000万台にとどまることは最初から明白だったと指摘している。「iPhone 8」シリーズの売上を加味しても、2015年から続く下降トレンドを止めることは困難だ。Jonesは次のように説明している。

「これまでの季節ごとの売上、販売台数、平均販売価格の変化などから推計すると、アップルはQ1にiPhone全体で5300万台を販売する計画だったと考えられる。これは、アナリストがスーパーサイクルで予測していた数字を下回るが、過去3年間の下降トレンドが継続すると考えると妥当な水準だ」

しかし、仮に2000万台が現実的な数字であったとしても、ティム・クックが初めから下降トレンドが続くという前提で低い目標を立てるとは思えない。アップルは、iPhone 6以来2機種をリリースしてきたが、2017年には3機種をリリースした。

iPhone 8とiPhone 8 Plusで通常の買い替え需要に対応し、革新的なテクノロジーを搭載したiPhone Xで新規需要を喚起するのが狙いだった。その点では、iPhone Xは2015年にリリースされたアップルにとって最初のファブレット、iPhone 6 Plusと目的が似ている。
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編集=上田裕資

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