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カリスマファンドマネージャー「投資の作法」


逆に、不調のときはなるべく動かない方がいい。耐えることだ。自分の流れが来ると思うまではじっとしていた方がいい。不調なときに変化すると、見えていないときなので、それこそ“往復ビンタ”を食らうことが少なくない。待っていれば、チャンスは来る。個人投資家で投下資金が少ない場合は現金にしてもよい。機関投資家の場合、そうはいかないので、多少負けがこんでも流れが変わるのを待つこと。というのも、流れは必ず変わるからである。

とはいえ、耐えることがいつも正解とは限らない。本質的によい企業群を保有していれば、時間が経てば流れも変わる。しかし、投資先の内容が悪い、あるいは評判だけだと、いくら耐えてもうまくいかなくなる。それは当たり前で、悪い企業や悪い株式というのは「時間が敵」となる。待てば待つほど、その会社が馬脚を現すことが多いからだ。

好不調にはふたつのリズムが重なり合っている。それは市場のリズムと、自分のリズムだ。ファンドというのは自分の分身であり、ファンドのリズムは自分のリズムである。市場の波と自分の波をどう同期させていくかが大事だが、ただ同期しているだけでは付加価値は出ない。市場を上回る波を作らなければ、市場に勝つことはできない。

市場のリズムをどうつかむか──。それには、経験と感性が必要である。一方で、自分のリズムをどうとらえるか? これは自分を他人のように把握する力が重要で「メタ認知力」ともいう。

確かに、優秀で市場を読めるものの、自分を読めない人にも優秀なファンドマネジャーは非常に多い。そういう人は自分に絶対的な自信を持ち、市場を読み切ることができる。

だが、じつはファンドや自分自身のクセやリズムを把握できずに自滅する人は多い。実際にそのようなファンドマネジャーをたくさん見てきた。市場を客体視できても、自分を客体視できない人が多いのだ。長期的に生き残って成果を上げているファンドマネジャーは、「メタ認知力」の高い人が多いし、それは個人投資家でも同じである。

まとめると、好調のときは変化する。不調のときは変化せずに耐える。ただし、投資内容に対する本質的な自信が必要で、市場のリズムと自分のリズムを意識し、特に自分自身の状況を客体視できるようにする、ということ。

自分を客体視するのは市場を読むより難しいものだ。

藤野英人の『カリスマファンドマネージャー「投資の作法」』
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文=藤野英人

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