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Benjaminは「Sunspring」のあと、「It’s No Game」という短編SF映画のシナリオも生み出している。同作は前作と比較して、シナリオがより重層的になったという評価を得た。また、「Sunspring」では突如として理解できない会話や場面が挿入されていたが、「It’s No Game」にはそうした欠点が大幅に改善されていたという。

多くの専門家は、シナリオAIが人間のレベルに達するのはまだまだ難しいとしている。前述のBenjaminが生み出したシナリオはいずれもSFコンテンツであり、話が多少、飛躍しても視聴者側に受け入れられることができる。しかし、他の分野ではそうもいかないというのが業界の共通認識だ。

とはいえ、AIはどんどん能力を向上させてくるだろう。加えて、シナリオAIの亜流として、次回作や続編のストーリーを予想する「新作シナリオ予測AI」(エンジニア・ZackThoutt氏が開発)や、SNSなどの書き込みから「好感を得るシナリオを作成するAI」(Disney Researchが公開)などが登場し始めていることも補足しておきたい。

撮影・CG作業を合理化するAI

放送業界において、人工知能は映像撮影・編集、CG作業にも用いられてようとしている。2017年に開催されたCG関連のグローバルカンファレンス「SIGGAF 2017」では、ワシントン大学の研究チームが発表した「音声・画像合成AI」が注目を浴びた。

同AIは、インターネット上に存在する既存の動画データを分析。そこに入力された音声と、同じパターンを自ら生み出し、音声と同期する口の形のCGを作り出すというものだ。つまり、AIが音声だけで即席で映像を作りだすということになるのだが、仮に実用化できれば、これまで人間が音声に基づいてCGを製作してきた方法よりも、はるかに少ないコストでコンテンツを制作することが可能となる。

同様の技術は、ビデオ会議や映画の吹き替えなど、音声と映像を上手く合わせる必要がある環境・コンテンツで有用だとされている。また、映像と音声の同期レベルを検出する機能を利活用すれば、フェイク動画を検出することも可能になるとされている。

一方、大規模製造業で活用されているロボットアーム(産業用ロボット)の制御技術と組み合わせた「撮影AI」も、コンテンツ制作の現場で活用され始めようとしている。同システムを活用すれば、CG合成時に発生する誤差を最小限に抑えることができ、製作期間を縮めることができるのだ。国際映画祭の拠点として有名な韓国・釜山市は、2018年から2020年までに60億ウォン(約6億円)を投資し、撮影AIをベースにした動画撮影システム「シネマロボティクス(Cinema Robotics)」を構築するとも発表している。

以上のたように、人工知能は企画・制作・調査・評論など、放送業界のあらゆる分野で活用されはじめようとしている。テレビやスクリーン越しに、AIがつくったコンテンツを人間が当たり前のように消費する時代は、意外と早く訪れるかもしれない。

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文=河鐘基

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