ビジネス

2018.03.07

フェミニズムに対するギャップを埋める、新動画メディアの挑戦

石井リナ BLAST Inc. CEO(左)と明石ガクト ONE MEDIA代表取締役

振り返ってみれば、2017年は「動画元年だった」と言っていいだろう。料理系や美容系を中心に無数の動画メディアが立ち上がり、SNSのフィードで動画を見かけることは「日常」となった。

動画に食傷気味になっている人もいるかもしれないが、2018年に入り、既存の動画メディアの枠にハマらない“変わり種”な動画メディアが立ち上がった。フリーのSNSコンサルタント・ウェブメディア「COMPASS」の元編集長の石井リナが立ち上げる女性向けエンパワーメント動画メディア「BLAST」(ブラスト)だ。

「BLAST」はインスタグラムのタイムラインやストーリーズ、ユーチューブを活用して動画を配信する分散型の動画メディア。“エンパワーメント”をキーワードに、番組・ニュース・インタビュー・スナップなどの4つの形式を軸として女性のためのトレンドから社会問題までをトピックとして取り上げる。文字通り業界に「風穴」を開ける存在になりそうだ。

同氏は「BLAST」のリリースに際し、BLAST Inc.を設立。メディアのリリースと同時に、ONE MEDIA、B Dash Ventures、アドウェイズから資金調達をしたことを発表した。

「動画メディア戦国時代」とも言える今、なぜ女性向け、それもミレニアル世代に絞った動画メディアを始めようと思ったのか。また、投資したONE MEDIAの明石ガクト氏はどこに可能性を感じたのか。二人の考えを伺った。

日本の女性向けメディアは「かわいい」に帰結している

石井:リアルイベントにおけるSNSプロモーションを行うSnSnapのオウンドメディア「COMPASS」の編集長をやっていた頃、海外メディアやトップインフルエンサーの情報を収集していたんです。そのときにフェイスブック、スナップチャット、インスタグラムなどを活用して情報を発信している「Refinery29」という分散型動画メディアの存在を知り、2年前頃からチェックしていました。

気になって調べてみると、月間4.5億人のユーザーが閲覧しているそうで、ミレニアル世代の女の子が一番支持しているメディアとも言われている。銃の乱射事件や生理、ファッションのトピックを取り上げるなど、日本にはない横断的なメディアの作り方をしていました。

Refinery29が発信する情報や海外のトレンドに触れているうちに、私自身もどんどんフェミニストになっていったんですよね。そして、Refinery29のようなメディアが日本にもあるべきだ、と思い、その考えを明石さんに話したんです。

明石:海外でRefinery29が盛り上がっているのを知っていましたし、僕はONE MEDIAの運営を通じて、インスタグラムを中心にしたガールズパワーを象徴する動画メディアの必要性は感じていましたが、インスタグラムのお作法もわからない自分みたいなおじさんがやるよりは、若い女性がやった方がいいなと思ったんです。

そんなとき、石井さんから「BLAST」の構想を聞き、メディアの明確なビジョンを持っていて、自分と同じ考えを持っていた。これは石井さんに任せた方が圧倒的にいいな、と。僕が「ガールズパワーを象徴する」と言っても説得力がないですし、誰の心にも響かない。

だから、石井さんから「起業」の話が聞けたとき、すぐ出資することを決めました。石井さんみたいな世代の人たちがどういうプラットフォームを選び取って、どういうコンテンツをやっていくのかは、純粋に興味がありましたし、約4年間、ONE MEDIAが培ってきたノウハウも提供できる。お互いに良い効果があると思ったんです。


BLAST Inc. CEO 石井リナ
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文=奥岡ケント 写真=小田駿一

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