ビジネス

2018.03.12

仕事とゲームから探る「熱中」を構成する3つの要素

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このことは、自社で経理を担当している社員から言われた「私の仕事は、成功することよりもミスが起きないことが前提だから評価されづらい」という言葉で気づきました。

確かに、経理の場合だと淡々と日常的にミスなくタスクをこなしていくことが良いとされるので「達成する」というプラスのクリア条件ではなく、「失敗しない」というマイナスのクリア条件なので評価されづらい。それゆえモチベーションが上がりづらいのは納得できます。それからは、経理に対して「タスクAを自動化させる」や「○%のコストカットをする」などといったプラスの達成目標を設定することで、全体の作業効率が上がるだけではなく、本人のモチベーションにもつなげることができました。

リトライでき、フィードバックができること

2つ目は、「何度でもリトライできる」こと。人生の様々な出来事において「なんとかなるでしょ」と楽観的な人と「これがダメだったら終わりだ……」と悲観的な人とでは大きく認識が違うので、改めて考えてみます。私は基本的に楽観的なタイプなので、後者のような考え方の人がいることに驚きました。

数ヶ月前、私はとあるRPGをプレイしていました。そのゲームは、ボス戦に負けるとかなり前のチェックポイントまでプレイ記録がリセットされる仕様になっていて、1時間分の記録が消えてしまったことがあります。一方で別のPRGでは、ボス戦直前までのステータスをそのままリトライ後も引き継げる仕様なので、何度ボス戦に負けても気にならず繰り返しプレイすることができます。どちらを継続して遊ぶか、それは断然後者です。

何度でもリトライでき、しかも失敗の代償が小さいほど1回ごとの挑戦のハードルは下がります。そして何度もリトライすることで他者から受けるフィードバックの頻度や精度も上がっていくので、結果的に良い成果に結びつくことが多いのです。「勝負は一度きり」な場面は多々ありますが、その場合でも極力小さなタスクに分解し、少しでもリトライしやすいような環境を常に作っておくことも大切です。

3つ目は「フィードバックしやすい」こと。失敗した後に振り返ってみて、次に改善すべき点が明快であればあるほどリトライ後の成功確度が上がるため、モチベーションアップにつながります。

ゲームの場合でも、負けた原因が明快であれば次回に活かせますが「よくわからないけど負けた」状態だったら次回も同じことを繰り返してしまい、はたまた偶然クリアできたとしても腑に落ちません。

仕事の場合も同様。失敗をモチベーションに変えるためには、発生した失敗を一度自分ゴト化し、どの部分が改善する必要があったのかを客観的に判断することです。また、具体的なフィードバックに繋げるためには原因分析だけでなく、どのアクションが誰の動きでどのような事柄を引き起こしたか、責任の所在を明確にすることも重要です。
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文=ハヤカワ 五味

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