ついに有名企業も立ち上がった、アメリカの銃規制に変化

ドナルド・トランプ米大統領とウェイン・ラピエール全米ライフル協会(NRA)会長(Getty Images)


一方、昨今の乱射事件ではいわゆる護身用の銃ではなく、殺傷能力の高いライフルや半自動小銃が使用されるケースが顕著となっている。フロリダ事件の19歳の容疑者が用いたのは半自動小銃「AR-15」。58人が犠牲となった昨年10月のネバダ州ラスベガスでの銃乱射事件では、1発ずつしか撃てない半自動小銃が機関銃のように改造されていた。

こうした現状を受け、殺傷力の強さを宣伝する「売らんかな」の銃器メーカーの責任追及を求めた遺族らによる訴訟も起こされている。フロリダの事件をめぐっては、アメリカの主要大手も、あらゆる規制に反対するNRAから距離を取り始めた。ユナイテッド航空はデルタ航空と同じく、NRA会員に対する航空券割引サービスの適用を中止。レンタカーの大手ハーツはNRA会員への割引サービスを打ち切り、生命保険大手メットライフもNRA会員向け自動車・住宅保険の販売促進策を取りやめた。

トランプ大統領は世論の猛反発を意識し、半自動式の銃に取り付けて連射を可能にする「バンプストック」などの部品の使用を禁止にする大統領令を準備。銃が購入できるようになる年齢を現行の18歳から21歳に引き上げることを検討すると表明した。
 
オバマ前大統領は16年1月、ホワイトハウスの演説で、乱射事件で命を落とした小学生の話に触れて涙を流し、精神疾患を抱えた人物への銃販売規制を厳格にする大統領令を発表した。しかしこの大統領令は、トランプ氏が大統領就任直後に撤廃された。仮に銃の購入年齢を引き上げても、条件を満たす誰かに頼めば銃は容易に未成年らの手に渡ってしまう。

アメリカで最も重要な政治テーマのひとつである銃規制の是非は、今年11月の中間選挙にも大きな影響を与えることから、今回の動きはさらに紆余曲折をたどり、元の木阿弥になってしまう可能性も十分にある。

連載:水本達也の『ニュースワイヤーの一本』
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文=水本達也

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