私が指導するリーダーやチームの中には、メンタルの強さを職業と結びつけて考える人がいる。兵士やスポーツ選手など精神の強さが必要とされる人と、その他の人に二分しているのだ。
しかし、スポーツ系のイベントは短期的だ。五輪の短距離走であれば10秒、全米プロフットボールリーグ(NFL)であれば60分が試合時間だが、米国企業の「試合」は少なくとも1日8時間だ。起業家はその倍かもしれない。業界にかかわらず、プレッシャーの中で自分を制御して考え、問題を解決し、耐える能力が必要だ。
私はリーダーシップ指導業を始める前、米海軍特殊部隊「ネイビーシールズ」に13年間所属していた。訓練や選抜プロセスでは精神力についてもちろん多くを学んだが、とても重要な教訓を得たのは軍隊を去ってからだ。
メンタルを強くする上で重要な点は、以下の7つだ。
1. 目標設定
目標を設定する効果についてはすでに十分実証されている。目標がなければ焦点が定まらないし、全てを優先事項とすれば優先事項はないも等しい。目標を定め、その達成のため突き進むことが必要だ。
2. セルフトーク(頭の中の独り言)
人前で話す前やちょっとしたスピーチをする前に「私のプレゼンはひどい」「こんなことは本当にしたくない」など、頭の中でマイナス思考の独り言をつぶやいていると、脳はその真偽を区別できず、全て信じてしまう。
これをプラス思考のものに変える最も効果的な方法は、否定的なセルフトークが出る状況や原因を特定し、それを積極的にプラス思考に置き換え、再定義すること。冒頭に述べた公開討論会で同席したメンタル調整コーチのトレバー・モーワドは、独り言を実際に声に出すことを勧める。そうすれば、自分の言うことに筋が通っているかをより論理的に判断できる。
3. 視覚化
ある調査では、3つのバスケットボールのグループを分析し、視覚化の効果を検証した。最初のグループは20日間毎日フリースローを練習し、24%の改善が見られたが、1日目と20日目しか練習しなかった2つ目のグループは、全く上達しなかった。最後のグループは、1日目と20日目のみ実際に練習し、あとは毎日想像でフリースローの練習をした。その結果、23%の改善が見られた。
会議での振る舞い方や採用面接での受け答え、同僚と難しい話題について話し合うときの展開などを想像しよう。脳は、あらゆる疑問やシナリオに対して答えを見つけるので、起きるかもしれない問題や不運な事態ではなく、完璧なパフォーマンスができたときの様子や感情を想像しよう。