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Stanslavs / shutterstock.com

仮想通貨の熱狂的な流行が落ち着きを見せ始めるのかと思われところに、これまでになくばかげた話が伝えられ始めた──「ペトロ」の先行販売の開始だ。

ペトロは石油の埋蔵量が豊富なベネズエラ政府が発行する、石油に裏付けされた仮想通貨。地政学的リスクの分析を専門とするコンサルティング会社ユーラシア・グループの報告書によれば、同国はペトロの発行により、最大20億ドル(約2130億円)の調達を目指している。

政府が発行、石油が裏付け、ビットコインのようなもの、と聞けば魅力的に思えるのかもしれないが、誇大宣伝に惑わされ、ペトロへの投資を考えることがあってはならない。何から説明を始めるべきか分からないほど、ペトロには数多くの問題がある。それらの中でも特に重要なのは、以下に挙げる点だ。

「デスパレートな」策略

英米系投資銀行ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)は、ペトロ発行を「破れかぶれの(デスパレートな)策略」と呼んでいる。BBHの為替アナリストは、ウォール街の中でも最も冷静な分析を行う人たちだ。

BBHのリポートには、「(ベネズエラのニコラス・)マドゥロ大統領の発言から、ペトロの価値は石油価格とベネズエラ政府の信頼性によって決定されると考えられる」と書かれている。問題は、マドゥロ政権への信頼感が大半の人たち、特に投資家たちの間においてほぼゼロだということだ。

フォーブスの寄稿者でもあるジョンズ・ホプキンス大学のスティーブ・ハンク教授(応用経済学)よれば、ハイパーインフレに苦しむベネズエラのインフレ上昇率は現在、5000%を超えている。国民は飢え、トイレットペーパーのような基本的な生活必需品も入手不可能となっている。
その上、ペトロの価値に石油価格をどのように反映させるのかも明確にされていない。ペトロと石油埋蔵量との関連性についても、ユーラシア・グループによれば「不明瞭だ」。投資家にとっては、とても安心感を持てるものではない。

発行は「違法行為」

ベネズエラの野党はペトロの発行を「借入の一形態と考えられる。議会の承認が必要だ」と主張している。つまり、発行は非合法と考えている。BBHはリポートで、野党が政権を奪取した場合、ペトロを廃止する可能性があると指摘する。

米国人の購入も違法

ユーラシア・グループよると、米国人がペトロを購入することは、違法行為に当たる。ベネズエラは各国の経済制裁の対象とされており、米財務省はすでに国内の投資家に対し、国際的な制裁規定に違反する可能性があるとして、投資を行わないよう警告している。

私有財産は認められない

ベネズエラの社会主義政権は、あらゆる財産権を軽視している。過去にも国民の財産が没収されてきた例は多数報じられている。ペトロが私有財産とみなされるべきものであるということは、政府に没収される危険があるということだ。

編集=木内涼子

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