蘇州市の「Pape Games」という企業が開発したこのアプリは、昨年12月の配信開始以来、累計5500万ダウンロードを達成。北京の調査企業「ASO 100」によると、中国で2番目に人気のゲームアプリとなっている。
ラブ&プロデューサーは、ユーザーがテレビ局の女性プロデューサーとなって、経営危機に瀕した番組制作会社を復活させるという内容のゲーム。ヒット作品を送り出すために、4名の男性キャラクターたちを誘惑する。
ゲーム内には様々な課金アイテムが存在し、仮想空間のデートのために使用する。調査企業「IHS Markit」は、このゲームが3ヶ月で約9500万ドル(約101億円)の売上をあげていると推定する。
北京の化学メーカーに勤務する33歳のDu Xinは「仮想空間でいろんなファンタジーが楽しめる内容で、思っていた以上にハマった」と話す。これまでゲームに課金したことがなかったXinは、このゲームに既に約80ドルを支払ったという。
一方で、中国のSNSから人気に火がついたのが、日本のアプリ開発企業がつくった「旅かえる(Travel Frog)」だ。このアプリは中国のアンドロイドとiOSのアプリストアの両方でトップに立ったが、ユーザーの多くが女性であるとアナリストらは分析している。
旅かえるは、かばんのなかにおべんとうや、おまもりなどの道具をそろえてやり、かえるを旅に送り出す内容。しばらくすると、かえるが旅先の写真などを送ってくる"放置系"の内容でまったりと楽しめる。
北京のコンサルティング企業「Analysys International」の担当者は、このアプリが女性たちを魅了するのは、かわいいデザインや独特の世界観、さらに心の温もりが得られるからだと分析する。
中国のゲーム市場は275億ドル規模といわれるが、これまでのユーザーの大半は18歳から35歳の男性たちだった。しかし、現地のアナリストたちは、近年は女性もゲームを楽しむようになったと指摘する。
バトル型ゲームも中国女性らを魅了
テンセントが開発した大ヒットゲーム「王者栄耀(Honor of Kings)」の場合、約2億人のプレーヤーの半分が女性だった。他のゲーム企業らもゲーム内の女性キャラクターを増やすことで女性にアピールする動きを進めている。
世界的にみるとスマートフォンで対戦型のゲームをする女性の割合は32%にとどまっている。それに対し、中国の「王者栄耀」の女性ユーザー比率が50%に達していることは、珍しい事例なのかもしれない。米国では女性ユーザーがプレイするゲームといえば、「キャンディークラッシュ」のようなパズルゲームが一般的で、バトルゲームを好む女性はかなり稀だ。
「西洋諸国では女性ユーザー向けのデザインや機能を盛り込んだゲームが、ヒットした事例が中国に比べるとかなり少ない。しかし、中国では女性ユーザーからの課金収入を見込むゲームが今後、もっと増えてくるはずだ」と現地アナリストの一人は話した。