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2018.03.01

ビットコインに批判的なビル・ゲイツ、主張が「的外れ」な理由

Photo by John Lamparski/Getty Images


特定の種類の犯罪が、ビットコインによって利益を得やすいものに変化したという点について、ゲイツの主張は正しい。例えば、指定した場所まで実際に足を運ぶ必要がなければ、誘拐犯にとって身代金を受け取るのはずっと簡単になる。さらに、ビットコインは他人のコンピューターにランサムウェアを侵入させるといった悪意ある行動で利益を得ようとするハッカーたちによって広く利用されている。

確かにビットコインには、いくつかの欠点がある。だが、他のどの新しいテクノロジーでも、それは同じことだ。ビットコインを介して行われる犯罪は、インターネットによって可能になった犯罪でもある。

もう一つの見方

ビットコインが最も高い注目を集めるのは、それが経済的自由と、政府や大手金融機関による経済の完全かつ反ユートピア的な支配のどちらを重視するかという明白な選択を迫るところだ。オンライン決済での匿名性が認められないとすれば、それは誰かが世界中の金融活動の全てを監視しているということだ。

ビットコインは、特定の人たちが使用する仮想通貨を単一の組織が完全に支配することになった将来に起こり得る無数の問題に対するヘッジだ。それらの問題には、金融活動の監視やマイナス金利、政府による金銭の没収などが含まれる。

ビットコインが良いものではないと考えるのは、全くその人の自由だ。だが、その人たちは自分の考え方が的外れであることも理解しておかなければならない。ビットコインはいずれ廃止される、または廃止すべきと考える人は、どうすればそれが実行可能であるのかを説明する必要がある。

ゲイツが指摘した点に関して言えば、もし世界中の全ての政府が健全な金融政策を実施し、全国民に個人間での取引を認め、誰の資産も決して差し押さえないのであれば、ビットコインの用途はほとんどないということになるだろう。だが、世界は明らかに、そのようには動いていない。

編集=木内涼子

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