しかし、5G NR技術を実用化するためには、莫大な設備投資が必要となる。調査企業「Moor Insights & Strategy」は、5G関連のITハードウェア投資額が2025年までに3260億ドル(約35兆円)に達すると予測している。
この中には、5Gデータ処理、データセンターやエッジコンピューティングにおけるストレージやネットワーキング、キャリアのネットワーク変換プロジェクトなどが含まれる。
5G NRに対応するネットワークを整備するためには、より高速でフレキシブルなインフラが求められる。また、通信の遅延を減らし、コアネットワークやデータセンターに出入りする5Gデータを最小限に抑えるために、新たなエッジコンピューティング・ハードウェアへの投資も必要となる。
多くのネットワークがスタンドアローンの5G NRネットワークに移行する2020-2021年頃にはITハードウェアへの投資が本格化するだろう。前述の3260億ドルの内訳は、56%がデータセンター(パブリッククラウドを含む)、22%がネットワーク変換、3%がエッジコンピューティング、19%がモデムやIP領域となる。
興味深いのは、最も伸び率が高いのはエッジコンピューティングやネットワーク変換だが、金額が圧倒的に大きいのはデータセンターであることだ。これらの投資は、以下の企業に好影響を与えることが予想される。
・シスコシステムズ、Dell EMC、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ、ファーウェイ・テクノロジーズ、IBM、レノボ、ピュア・ストレージなどのデータセンターやエッジコンピューティングのOEM
・アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、ブロードコム、インテル、エヌビディア、サムスン電子、クアルコム、ザイリンクスなどのデータセンターやエッジコンピューティングの部品メーカー
・エリクソン、ファーウェイ、インテル、ノキア、クアルコム、サムスン電子、ZTEなどのモデムやIPのサプライヤー
・グローバルファウンドリーズのような半導体ファウンドリ企業