谷本:投資という意味では、たとえば、すずかんゼミに入るとか、堀江貴文イノベーション大学校(HIU)に入るとか色々あるかと思いますが、具体的には何から始めたらいいですか。具体的なヒントを頂きたいです。
鈴木:自分が「三度の飯より好きなもの」は何なのかということを見極めることですね。たとえば、金儲けが好きななら、本当に利益率のいいものだけやるとか。三度の飯より好きなことは何かを考えて、相当突き詰めると、そこにバリューが発生します。もちろん、すぐにそこからお金が戻ってくるかは別ですが。
では、自分の好きなことをどう見つけるか、ということですが、それは試行錯誤が必要。やってみて好きじゃなかったとか、そこも含めてやっぱりハンズオンでやっていったほうがいいのではないでしょうか。
谷本:最後にお二人にお伺いしたいのは、日本の現在の課題のひとつでもある「後継者問題」について。これはどう考えていけばよいのか、ご意見をお聞かせ願えませんか。
鈴木:逆説的なことを申し上げると、マクロで見ると3割ぐらいの方は事業をたたんだ方がいいので、たたむチャンスを考えた方がいいということ。3割は、血は繋がってないけど頑張っている人に売る、または譲渡する。そして、最後の3割は本気でやりたいなら次の後継者を真剣に探す。
だけどそれは「後継者」ってしないほうがいいと思うんです。息子さんとか娘さんとかに1億でも2億でも渡して、なるべく自分から遠いところ、つまり、地理的にも分野的にも、自分がよくわからない世界で次の世代がやりたいと思うところでやってもらうということ。最初は死なない火傷をいっぱいして、修羅場も経験しないと、本物にはならないので。それをやらせることが大切だと思うんです。
でも、「後継者に譲らなきゃいけない」というのも思い込みなので、もう一回ちゃんとゼロから考える必要があると思います。まずは何より、次の世代の幸せを本気で考えて欲しい。財産なら財産で残した方がいいということもあるんです。良かれと思って渡しているかもしれないけど、不良資産化している会社を渡すというのはむしろ最大の不幸だということを認識する必要があると思いますし、そのためにも、真剣に考えたり、対話をし始めた方がいいと思いますね。
堀江:すずかんさんと意見は概ね一緒なんですが、僕は別に会社なくなってもいい派なので、自分だったら売るなーと思います。売れるのなら売る、という意味です。
鈴木:ただ、それも早めだったら売れるのですが、売るタイミングというのが、全部遅いんですよね。日本ってやっぱり遅い。20世紀は良かったのですが、今はマイナスです。
何かを残したいという気持ちと、次の世代の幸せを思う気持ちは徹底的に思ってください。残し方は、今ある株式会社の代表権を譲るということではなくて、いろいろな魂とかリソースとかを別の形で譲るということも大切。
僕は、後継者に自分でお金も調達させたほうがいいと思うのですが、いま、事業資金は比較的集まりやすいと思うんです。だから、大切なのは「遊び」。そこに新たな芽が生まれるチャンスがある。そのためには、国や分野など、自分と遠いところにいる友達をつくることが大事だと僕は思っています。それも一緒に遊ばないと友達はできないので、“遊び代”として後継者に渡すというのもひとつの「後継者育成」かもしれませんね。
鈴木 寛◎東大卒業後、通産省入省。出向中、松下村塾に何度も通い、人材育成の重要性に目覚め、私塾を主宰。
霞が関を飛び出し、大学教員、参議院議員、文科副大臣等を歴任。現在、東大教授、慶大教授、日本サッカー協会理事、社会創発塾塾長を兼務。
堀江 貴文◎ホリエモンの愛称で、起業を目指す若者たちから絶大な支持を受けている現代のカリスマ。東大在学中、オン・ザ・エッヂを設立。ホームページ製作などを通じ急成長。2004年ライブドアへ社名変更。 現在、SNS media&consultingファウンダー。