世界は「黒人ヒーロー映画」を受け入れた
しかし、変化の兆しはある。昨年、女性監督による女性主人公の映画「ワンダーウーマン」が製作費1億4900万ドル(約159億円)に対して全世界興収8億2180万ドル(約879億円)を上げて話題を呼んだが、黒人男性監督による黒人女性4人が主人公の映画「ガールズ・トリップ(原題)」も製作費1900万ドル(約20億円)で興収1億4000万ドル(約150億円)の成功を収めた。
ディズニーはこの変化を先導する企業の一つだ。児童文学を実写化する「ア・リンクル・イン・タイム」(原題)では、監督に「グローリー/明日への行進」のエヴァ・デュヴァネイ、キャストにオプラ・ウィンフリー、リース・ウィザースプーン、マイケル・ペーニャ、ミンディ・カリングを起用。メキシコの「死者の日」をテーマにしたアニメーション映画「リメンバー・ミー」(3月16日に日本公開)では、声優陣にラティーノの俳優たちを起用している。
2月20日、ディズニー会長兼CEOのロバート・アイガーは「『ブラックパンサー』は予想を裏切り、記録を破り、通説を覆した。世界は『ブラックパンサー』を受け入れた」とツイートした。
「ブラックパンサー」の世界的な動向はまだ公開されていない国もあるため未知数だが、米国内では確実に多様な観客層に浸透している。コムスコアの調査によると、全観客のうち黒人女性が占める割合が通常のスーパーヒーロー映画では15%であるのに対し、「ブラックパンサー」は37%だという。また、チケット購入者のうち45%が女性だった。これらは黒人スーパーヒーローの登場がどれだけ待たれていたかを示す数字だと言えるだろう。