フェイスブックが「世界にとって善き存在」になるには(後編)

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本記事の前編では、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が、大人になった自分の娘たちに「父親が作り上げたものが世界にとって善いものだったと感じ」てほしいと思っていることを紹介した。

同社が現在、その水準に達していないと考える人は多い。コンピューター開発のパイオニア、アラン・ケイは、さらに不吉な長期的展望を示している。

「更新世の人間の脳と感受性に、10億以上の因子の力を与えれば、単純な危険は大惨事へと発展し、最後の危険となる可能性もある」

この危険を避けるため前編では、フェイスブックが「開放的で中立なサイト」だという長年の主張を、ザッカーバーグが捨てなければならないと説明した。フェイスブックはその代わりに、同サイト上の言動に対し責任を認めなければならない。

ウォルト・ディズニー・イマジニアリングの元社長、ブラン・フェレンによると、フェイスブックはさらに、礼儀正しい行動を定義し、ユーザーに順守させる取り組みを主導する必要がある。ケイと同様フェレンは、フェイスブックを新たなメディア形態と考え、ユーザーがそこでの社会交流規範をいまだに理解していないとする。現在ユーザーは、自分の行動の影響を被ることなくほぼ何でも投稿できる。そのため、同サイトでは悪意のある発言が助長されている。

フェレンはフェイスブックに、現実世界のレストランに求めるのと同じ礼儀正しさを適用すべきと考える。レストランでは一定の礼儀が求められ、オーナーや従業員は自分自身や客に、全体の利益となる適切な礼儀を順守させることを期待されている。客が他テーブルとケンカを始めたり、他の食事客の気分を害するような行為をしたりすることは許されない。

フェレンは、厳格な方式を採用せずともこれが達成可能だとする。冗談や怒りから、友人の間でつい言ってしまうことでも、赤の他人に対して使うには不適切な言動もある。フェイスブックは状況や文化に応じた適切な言動やユーザーの指導方法、礼儀に欠けるユーザーへの対処法を学ぶ必要がある。人工知能(AI)を使えば、ほぼアルゴリズムで対応できるはずだ。

テック業界のベテランマーケティング専門家、マーク・ピリプチュクはフェレンに同意するが、自動化に関してはより慎重だ。礼儀に欠く行動や侮辱的なコンテンツ、真っ赤なうそを削除するのに、アルゴリズムだけでは十分ではないかもしれない。人は大抵、アルゴリズムの回避法を見つけてしまうものだ。

フェイスブックは、訓練が不十分で薄給の請負業者ではなく、質の高い人間のエディターを採用すべきだと、ピリプチュクは語る。これにより多くの良質な雇用が生み出されるため、社会にも貢献できるという。(そのための費用捻出もフェイスブックにとってはたやすいものだ)
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編集=遠藤宗生

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