同大統領の政権下で、フィリピンでは腐敗がさらに深刻化している。世界の汚職や腐敗の問題に取り組む非政府組織(NGO)、トランスペアレンシー・インターナショナルが先ごろ発表した各国の2017年「腐敗認識指数(CPI)」ランキングによれば、フィリピンは前年から順位を13ランク下げ、180か国中114位となった。
フィリピンの順位は2016年にも前年から6ランク低下しており、アジア地域で特に腐敗が深刻だとされるパキスタンとの差を15ランクに縮めていた(2016年はパキスタンが168か国中116位、フィリピンが同101位)。最新のランキングで汚職や腐敗が「ほぼない」とされた首位のニュージーランドや、上位に入ったシンガポールとは大きく異なる。
ただし、こうした結果の解釈においては注意すべき点もある。評価の根拠となる調査データは複数あり、そのため結果に誤差が生じる可能性があることだ。また、これらの調査データの中には何年も前のものも含まれており、ドゥテルテの前任の大統領が進めた政策の結果が反映されている可能性もある。
経済は好調
今回のCPIランキング以前に発表された別の複数の調査結果では、2016年のドゥテルテ政権の発足以降、フィリピン経済は改善していることが示されている。世界銀行は最新の報告書「世界経済見通し(GEP)」の中で、同国経済の2017年の推定成長率は世界で10番目に高かったとしている。
こうした結果に表れる状況は、フィリピン国民の心理にも影響を与えていると見られる。米調査会社ギャラップの調査結果によれば、国民のうち「自国の経済は好調」だと考える人の割合は2017年に28%となり、前年の26%より増加した。
ただ、フィリピン政府と同国企業の株式を保有する外国人投資家にとって、腐敗との戦いは大きな賭けだ。フィリピンが先進国への道を前進していくことができるのか、あるいはフロンティア市場の位置づけに逆戻りするのか、それを決定するのは戦いの結果だからだ。