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2018.02.25 13:00

アップルの「コバルト調達報道」で見えたiPhone神話の終わり

Photo by Chesnot / Getty Images

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アップルは、リチウムイオン電池に使うコバルトを採掘会社から直接購入することを検討している。同社は、これまでサプライチェーン・マネジメントを磨き上げることで利益を拡大してきたが、その効率化が極限に達しつつある中、今後は大きな課題に直面することになる。
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ティム・クックは、卓越した経営手腕により在庫滞留期間の短縮や物流オペレーションの効率化、テクノロジーや原材料の買い占めによる競合の締め出しなどを実行し、アップルに莫大な利益をもたらしてきた。

クックがCEOに就任した当時、アップルのサプライチェーンには多くの無駄があり、それらを排除したことで利益が大幅に改善した。iPhoneの販売台数は2015年から下降線をたどっているが、オペレーションの効率化と製品単価の上昇によって、売上と利益は伸び続けてきた。

しかし、無駄の排除による効果は一度きりだ。アップルの現状は、ピンと張った弓の弦のようなもので、圧力に耐えきれなくなった弦は思わぬ時に切れる。
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この数年、アップルはソフトウェアの機能強化に取り組んできたが、iOSパッケージが成熟した今、さらなる機能の追加は容易でない。また、最近ではバグやエラーの改修にこれまで以上の時間を要している。これは組織の効率化が極限に達しており、エンジニアの増強が必要であることを物語っている。

それでも、アップルは毎年WWDCで魅力的な新製品を発表してブレークスルーを起こしてきたが、今年はその数も大幅に減少する見込みだ。

iPhone X不振で競合が台頭の危機

アップルのサプライチェーン上の課題は、他の面にも表れている。同社はサムスンと契約し、iPhone X用のOLEDディスプレイパネルの供給量を確保してきた。しかし、iPhone Xの販売不振により2018年Q1の発注量が4000万台から2000万台に半減したため、サムスンには余剰キャパシティが発生している。

サムスンは他の売り先を探しており、今年はOLEDディスプレイを搭載したミッドレンジのAndroid端末が多く出荷されるだろう。アップルはサプライチェーンを短くしたために発注量の変動分を吸収できなくなり、結果としてiPhoneの競争力を弱めてしまったのだ。

アップルは、コバルトについてもサプライチェーンを短縮化しようとしている。EV(電気自動車)の普及によりコバルトの価格が上昇することを懸念しての動きだが、採掘会社から直接仕入れることになればサプライチェーンに余裕が一切なくなることになる。

アップルの事業モデルは大きな転換期を迎えている。アップルが2017年の第4四半期に過去最高の業績を記録した際、同社の株価は下がった。アップルは今後も、世界で最も成功したテック企業の一つであり続けるだろうが、高い利益水準を維持する余力は失われつつあり、価格交渉力も弱まっている。アップルの置かれた状況は、今後ますます厳しくなっていくだろう。

編集=上田裕資

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