性被害に「怒り感じる」 メリンダ・ゲイツが語る世界の女性問題

メリンダ・ゲイツ(Photo by Jamie McCarthy / gettyimages)


─トランプ大統領が最近発表した予算案では、6週間の育児・介護有給休暇が提案されています。これを支持しますか?

私たちの財団は設立以来、民主、共和両党の全政権と成功裏に協働してきました。トランプ政権とも積極的に協力を深めようとしていますが、その政策の中には協力が難しいものもある。例えばビルと私は、対外援助の重要性を理解しています。米政府の予算のうち対外援助は1%未満ですが、これは世界の平和と安全を保つための資金となるもの。トランプ政権は対外援助を削減しようとしてきたので状況は厳しかったが、幸運なことに、その重要性を理解する米議会が対外援助を支持しています。

─今の政治についていら立ちを感じているのですね。トランプ大統領の就任で個人的に動揺されましたか?

米大統領が女性やマイノリティー(少数派)の人を見下すような発言をすることにがっかりしています。外国に行くと「これが米国の価値観なのか」と聞かれるため「違います」と言っています。大統領には、子どもたちの模範になってほしい。「いつか大統領になりたい」と言う子どもたちは多い。大統領がこれまで示してきたロールモデルに不安を感じます。

─その考えは家庭という面でも同じですか?

ビルは夕食後に皿洗いをするし、朝は子どもたちを学校に送る。これは模範となるためでなく、正しいと思うからしていることですが、昔ビルが長女を送るため幼稚園に姿を見せ始めたとき、他の子どもの母親たちが騒然となりました。

その理由を聞くと「皆が家で夫に『ビル・ゲイツが娘を送ってるんだから、あなたもできるでしょ』と言っている」とのことでした。これもロールモデルです。子どもを見送った日の朝、ビルは45分遅れでマイクロソフトに出社していたけれど、ビジネスには影響なかったでしょう。

─メリンダさんは娘が2人いますね。世界で最も影響力のある女性慈善家として、女性や女の子を支援し、女性が率いる事業にも投資しています。なぜこうしたことが大切なのでしょう?

エンパワーされた女性が社会を変えると信じているから。データがそれを示しています。世界中を旅する中で「なぜアフリカやインドのこの地域で、女性はエンパワーされていないのか」と感じましたが、その疑問は「では、米国の女性はどれほどエンパワーされているか」に変わり、実は米国でもそれほど進んでいないと気づいたのです。
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編集=遠藤宗生

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