広告とコンテンツの一体化としての“トレタテTV”上木:目指すのは広告とコンテンツの一体化ですね。広告クリエイティブをエンターテイメントに、と言い換えてもいいかもしれません。面白い広告動画を作ってバズらせたりする「コンテンツマーケティング」と言われる分野に属するテーマかもしれません。ニュース番組のフォーマットを使用することによって、ユーザーは情報吸収のためのコンテンツとして面白く見ることができますが、同時に購買意欲も向上させることになる。TVショッピングがエンターテイメントとして成立させつつ、商品販売につなげているのと同じ仕組みですね。それをデジタルでどこまで運営効率を高められるかというチャレンジです。
上木建一郎 ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社クラウド&アプリ事業部門メディア&アドプラットフォーム事業室担当部長(右)と同・メディア&アドプラットフォーム事業室・メディア運営課の菊地原秀平
菊地原:そうして生まれた“番組”コンテンツは、ニューススイートアプリ上で展開すると同時に、サイネージやユーチューブとも連動して、ユーザーの接触回数をブーストします。渋谷で行ったサイネージによる実証実験では堅めのニュース演出にしましたが、将来的にはCGと音声を別のキャラクターに変えるなど、番組形式やキャラクターについてもバリエーションを設けたいと考えています。
──二次元だけにクールジャパンの流れで、世界的にも評判を呼びそうですね。菊地原:もちろん海外にも積極展開するつもりです。すでにアプリ自体は70か国で展開しているのですぐにでもトライアルが可能な体制です。
上木:これはニュースアプリの記事型ネイティブアドに続く、新たな広告メニューです。ソニーは、常にユーザーの一番近いところ=ラスト1インチをつくり込んで評価を受けてきました。広告は、ややもすると嫌われがちですが、今回のチャレンジは、広告=商品情報が受け手に届くまでの最後の1インチを高効率に橋渡しすることです。バーチャルキャラクターによる番組形式の動画広告というのは、飛び道具的な印象があるかもしれませんが、具体的に、動画広告として重要な指標である「視聴完了率」において優れた効果をもたらします。つまり、いかにもCMだと途中で飛ばしてしまいますが、コンテンツの形式なら最後まで見てみようかとなるということです。それもユーザーに楽しんで、納得していただける形で。次なるネイティブアドのフォーマットとして既存の概念を広げるポテンシャルはあるのではないでしょうか。今後も、新しいテクノロジーをエンターテイメントな演出でくるんで魅力的な広告パッケージにする、という仕掛けを展開していきたいと思っています。反応を見ながら、技術面・演出面ではさまざまな企業・クリエイターと手を組んで、新しいデジタル広告の可能性を拡げていきたいですね。
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