トヨタ・GRスーパー・スポーツ・コンセプトが発表されたのは、去る1月の東京オートサロンでのこと。だれも、ハイブリッド車でトヨタがこんなクルマを出してくるとは予想もしなかった。
GRスーパー・スポーツは、世界耐久選手権(以下WEC)に出場するマシン、ル・マン仕様LMP1をベースにしたハイパーカーで、1000psのハイブリッドだ。ただし、もうすぐ発売になると期待してはいけない。というのは豊田章男社長は、GRスーパー・スポーツは今のところ、単なるコンセプトだと強調したからだ。ただし、遠くない将来に市販車を発売する考えがあるとも言っている。
この託宣は、同社を未知の領域に踏み込ませた。これまでにトヨタはその高級ブランド、レクサスから限定版LFAというスーパーカーを出してはいるが、それはおよそ4000万円台であり、1億円を越すモデルはなかった。そこに登場するのが、このGRスーパー・スポーツだ。
では、いったいこれはどんなクルマなのか? 確かなのは、トヨタがこれまでに作ったことがない、ラディカルで挑戦的なクルマだということ。外観が空力抵抗を抑えた流線型にデザインされた完全レース仕様のTS050ル・マン・カーを引き継いでいるだけでなく、それと同じレースカー並みのシャシー、同じツイン・ターボ2.4リッターV6ハイブリッドのエンジンを採用している。
GRスーパー・スポーツは、昨年4月に新しく設立されたガズー・レーシング社によるコンセプトだ。つまりガズー・レーシング社はレース活動を行うだけでなく、市販車のための高性能パーツやコムプリートカーを開発して販売する新事業。できる限り多くの顧客にアピールするために、トヨタの販売店の中に「GRガレージ」が設置されるわけだ。