ライフスタイル

2018.02.25 12:00

1億円超えか 衝撃的なトヨタの究極ハイブリッドカー




今回、トヨタが行ったのは、市販車をカスタマイズしてハイパフォーマンス車に変身させたのではなく、その逆なのだ。ル・マンとWECでの成功と、培ったノウハウを応用して、TS050ル・マン・カーに採用されたテクノロジーのみをベースとする公道走行が可能なクルマを作ったのだ。

はっきり言って、僕の欧米の同僚は、3月頭のジュネーブモーターショーで発表される次期スープラよりも、このGRスーパー・スポーツの可能性に興奮している。「これは歴史的な瞬間だ。どうした、トヨタ。これでハイブリッドが平凡だ、つまらないと思っていた人たちが、GRスーパー・スポーツを見て、トヨタを見直すかもしれない。メルセデスとアストンマーチンとトヨタの比較テストが早く見たいな」とイタリア人の同僚が語った。確かにそう。トヨタがここまで一流レースマシンと市販車の境目をぼかしたのは初めてだ。

レースに用いられたテクノロジーがフィードバックされ、より安全で、ずっと燃料効率のいい一般市販車が開発されるということは、もう何十年も聞かされてきた。その意味で、一流レースマシンであるGRスーパー・スポーツが、ほとんどそのままで市販車に生まれ変わる話はこれまでに聞いたこともない。

この衝撃的な発表はモータースポーツ界に響いた。1か月も経たないうちに、1億円を軽く超えるだろうと言われる価格でも、なんと20台以上の注文が入ったそうだ。グローバルブランドとしてのトヨタは、世界でもっとも信頼性があると認知されている。しかし、GRというブランドは、高性能部品を作ったり、レースを競ったりする世界以外では、あまり認知度がない。そこで、フラッグシップとなるスーパー・スポーツが登場するまでの数年間の露払いとして、トヨタのGRブランドお披露目作戦は、成功を上げていると言えるだろう。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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