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2018.02.26 12:30

長く愛されるロゴが持つ「普遍性」と「時代性」

pio3 / Shutterstock.com

前回のコラムでは、企業や組織の思想を体現するプロセスとして「CIデザイン」の存在をご紹介しました。この連載では、CI(コーポレート・アイデンティティ)の設計において思想を言語化し、これを意匠として象徴化したものを「ロゴ」と位置付けています。

私はロゴデザインにおいて、「普遍性」「時代性」の2つの原則を重要視しています。この原則を通してロゴを観察してみると、そのデザインの裏にある企業の思惑や時代の流れを理解することができるからです。これはCI/ロゴを制作する者にとっても、意思決定をする者にとっても、「そのロゴを選ぶ理由」の大きな助けになるはずです。今日は事例を交えながらこの2つのキーワードをご紹介します。

ロゴに瞬発的なインパクトを求めてはいけない

経済学には「ゴーイング・コンサーン」という言葉がありますが、これは法のもとで活動する組織は継続的に(半永久的に)活動するものと見なされることを意味しています。この前提に基づくと、その組織の「顔」となるロゴにも長期間の使用を想定した耐久力が求められ、私はこれを「普遍性」と呼んでいます。

「普遍性」を測る1つの基準として “時間軸” があります。2018年に作られたロゴは、2010年に存在していたことが想像できるでしょうか? 2026年に存在していることが想像できるでしょうか? アイデンティティは一夜にして定着するものではなく、さまざまな企業活動とともに時間をかけて浸透していきます。そのためロゴは瞬発的なインパクトだけではなく、過去─現在─未来のスケールで生きるかどうかを判断するようにしています。



「普遍性」に時代の流れ、トレンドを掛け合わせる

私たちがトヨタと日産の名前/ロゴを識別したり、アップルとマイクロソフトの名前/ロゴを識別するように、ロゴと企業や製品のブランド・イメージは強い結びつきを持っています。

前回のコラムではCIデザインにおけるロゴは見た目の良し悪しを超えた存在だと述べましたが、企業活動が社会や生活者に向けて行われる以上、世相を全く無視するのは難しいことです。世の中のさまざまなデザインは、時代の流れや好みの影響を受けています。ロゴにも時代特有のトレンドがあり、私はこれを「時代性」と呼んでいます。



「時代性」と「普遍性」は相反するものだと感じる方もいるかもしれません。しかし “普遍” とは “変わらないこと” ではなく、その時代を経て次の時代に残ったモノの蓄積だと考えています。「今、どんなデザインが主流か?」を掴み、それが一過性の事象なのか、次の時代への芽吹きなのかを見定めること。普遍性のなかで発生した時代性的要素を精度高く取り入れることで、ブランドの強い土台が形づくられていきます。
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文=タカヤ・オオタ

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