2017年にスイスウォッチ市場が復活した理由

Photo by Thomas Lohnes/Getty Images for Jaeger-LeCoultre

2017年下半期、26カ月の下落ののちに、スイスウォッチの輸出額が上昇し始めた。2017年のグローバルでの売上は199億スイスフラン(約2.28兆円)、前年比+2.7%となった。

しかし米国への輸出額は3年連続で下落しており、2017年は前年比-4.4%。スイスウォッチにとって、米国は香港に継いで2番目に大きな市場であるため、業界はこの結果を懸念している。とはいえ、米小売店がクリスマスシーズンにスイスウォッチを推していたこと、4.1%という低い失業率、そして株価の上昇といったいくつかの期待できる要因もある。

スイスの時計小売業者Buchererが米時計小売のTourneauを買収したことも、業界にとってはプラスのサインである。米国内28ヵ所に拠点をもつTourneauの買収は、Buchererにとってリブランディングになるだろう。また、最近スイスフランがユーロに対して安くなっていることももうひとつの追い風だ。2016年はスイスウォッチ業界の売上が10%下落したが、不振の主な原因はスイスフランの急騰だった。そして業界全体は、より多くの新商品を比較的低価格で提供することで、「コスパのいい時計」のラインナップを充実させようとしている。

女性用ラグジュアリーウォッチも成長しつつある領域だ。カルティエ、ヴァンクリーフ&アーペル、ピアジェ、ランゲ&ゾーネ、ジャガー・ルクルト、パネライなどのブランドを擁するリシュモングループは、2017年第3四半期に時計部門の売上が1%、ジュエリー部門の売上が11%上がったと発表している。

オメガ、ブランパン、ブレゲ、ロンジンなどをもつスウォッチグループは、2017年の時計・ジュエリー部門の売上が7.3%上昇したと発表。スウォッチは2017年下半期に売上を12.2%伸ばし、12月には史上最高の月間売上を記録しているが、これはハリー・ウィンストンやオメガといったラグジュアリー領域が伸びた結果だと同社は語っている。

LVMHは2017年、製品全体(ワインや蒸留酒を除く)の売上が13%上昇、時計・ジュエリー部門は12%増えた380万ユーロ(約5億円)になったと発表した。「ブルガリにとって素晴らしい年に、ウブロとタグ・ホイヤーにとっては進歩の年になった」とLVMHは述べている。

うまく進んでいるように見える「スイスウォッチの回復」は、3月22日から始まる時計の見本市「バーゼル・フェア」で確かめることができるだろう。

翻訳・編集=宮本裕人

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