私はどのようにイノベーションを育てるかについて、マネジメントの教科書や経営大学院(MBA)コースよりも多くのことを、ある直属の部下から学んだ。私のマイクロマネジング(細かく指示し、干渉する管理法)に嫌気が差した彼女はある日、私を呼び出し、落ち着いてはいるがきっぱりとした口調でこう言った。「クリエーティブな人には、どうやって仕事をするかではなく、何をやるかを指示すれば、最高の結果が得られますよ」
私は彼女を見据え、そのはっきりとした口調を耳にして、即座にその正しさを理解した。彼女はとても経験豊富なスポーツマーケティング担当者だったのに、私は必要以上の指示を与え、彼女を助けるどころか、いらだたせてしまっていた。
管理職はしっかりとした戦略的方向性を示すべきだが、クリエーティブな人の解決策をあれこれ制限してはいけない、と彼女は続けた。取り得る選択肢や良い点・悪い点の分析は部下に任せておき、マネジメントが代わりに問題を解決しようとしないこと。そうすれば、自分たちでより良い解決策を見つけてくれるはずだ。