誰もが求めるイノベーション なかなか見つからないのはなぜ?

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画期的なイノベーションは、ビジネス界で渇望される「聖杯」だ。誰もが欲していながらも、なかなか見つけることができない。

私が企業で働いていたときは、従業員からイノベーションを引き出す手法として、インキュベーターやイノベーションセンター、ブレインストーミングセッションなど、さまざまなものがあったが、本当に創造的なイノベーションを見つけるのは非常に困難だった。

人材紹介大手のロバート・ハーフが昨秋発表した調査に私が関心を持ったのも、こうした経緯だ。同調査は、企業の最高財務責任者(CFO)を対象とし、職場のイノベーションを分析したものだ。

日常業務と緊急対応

ロバート・ハーフの調査では、従業員のほぼ9割が、会社のイノベーションの評判は「就職先を決める上で重要な要素」と答えている。これほど高い関心が寄せられているにもかかわらず、イノベーションが実現しづらい理由はさまざまだ。同調査は、各企業のCFOに対し「会社の革新性を向上させる上で、最大の障壁は?」と質問した。その回答は次の通り。

30%が「行き過ぎた官僚主義」と答えた。(個人的には、これは少し言い訳がましいと思う。「こんな官僚主義に邪魔されなければ、自分の創造性を存分に発揮できるのに!」と言っているようだ)

27%が「毎日の業務と火消しに追われて、やる気がうせてしまうこと」と答えた。この回答には非常に共感できる。私が企業の管理職を務めていたときには、毎日の業務と緊急対応に膨大な労力を費やしていた。1日の終わりになって、やろうと思っていたことに全く時間を使えなかったことに気づき「時間はどこに消えたのだろう」と考えることが多かったように感じる。

25%が「新たなアイデアの欠如」を、16%が「非効果的なリーダーシップ」と答えた。ビジネス界は、創造性を阻む多くの障壁を築いてしまっている。

クリエーティブな人々には方法ではなく目的を指示すること

それでは、マネジメントがイノベーションを効果的に促すにはどうすれば良いのだろう? 管理職は、必ずしもクリエーティブなタイプが集まるところではない。実のところ、私が一緒に働いたマネジャーたちの中には、素晴らしい創造的なアイデアをぶつけられても全く気づかないような人もいた。

だが良いマネジャーは、イノベーションと、その必須要素であるリスクを取る文化が報われ、奨励される環境を作り出すものだ。「これがこの職場のやり方だ」と言って新たなアイデアを拒否していると、そうした環境は作れない。
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編集=遠藤宗生

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