男性が簡単にできる、ダイバーシティ推進のためのひとつのこと

ネナ・ストイコビッチ IFC(国際金融公社)副総裁


高いレベルの仕事をしている女性には、「完璧主義」という問題があります。女性たちはより高いレベルの仕事をきちんとします。けれども、たとえば、あるポストについて募集が出たときに、女性は 「ああ、このポストの仕事については、私は10のうち8つの条件を満たすけれども、2つの条件を満たしていないから、応募しない」と言いますね。

私はここ7、8年、他の人達が壁を克服する手助けをしていますが、これは私自身が過去約10年間、新たなポストの仕事に応募することに躊躇してきたからです。機会が来るたびに「まだ自分は準備ができていない」と思いました。私は自分の心の中の壁を乗り越えなければなりませんでした。翌朝に目を覚ましたとき「やってみよう」と思えるように。

こうしたことを踏まえ、きちんと仕事をし、より高いレベルの仕事に挑戦する人たちには、チャレンジするように勧めています。今週も、ある人の背中を押しました。私にも2人の10代の子どもがいるから分かりますが、家族がいる女性には「準備ができている」状態というのはなかなかないし、準備が整ったときにチャンスが来るわけでもありません。



男性が「男女平等」のためにできること

個々人が男女平等のためにできることとして、お子さんが女の子でしたら、「自信」を植え付けてあげるとよいと思います。私自身も娘がとても小さいときから非常に気をつけていて、子ども達には「何でも願いはかなうし、男女は平等だ」ということを伝え、自信を植え付けるようにしています。

そして、息子には、妹やガールフレンド、将来結婚する相手や娘などに「なんでも可能だよ」ということを伝えるなどして男女平等をサポートするように、と教えました。男性(ヒー)が女性(シー)に対して正しい行いをする大切さを広める「HeForShe(ヒーフォーシー)」というキャンペーンがありますが、人口の半分である男性が、もう半分の女性に自信を持つように働きかけるとすごく助けになります。

是非、フォーブスの男性読者にはロールモデルになっていただきたいですね。男性なしでは、男女平等は成功しないからです。現状であれば、女性と男性が平等になるにはあと170年はかかります。170年も待てる人はいないですよね。男女平等をより早く達成するのに、男性は大きな役割を担うことができるのです。


ネナ・ストイコビッチ◎国際金融公社(International Finance Corporation:IFC)副総裁。Economic Institute of Belgradeでコンサルタントとして働いた後、1995年にIFCにインベストメント・オフィサーとして入社。これまで、世界の気候変動やジェンダー、紛争・脆弱地域に関する問題の解決に携わってきた。ロンドン・ビジネススクールMBA。

構成=星野陽子 写真=寺内暁

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