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2018.02.18 12:00

大ヒットの秘訣は初の7人乗りボディ、マツダCX-8の真相は?


さて、デザインについては語る必要もない位だ。市場は、マツダ車の外観のスタイリングを愛して止まない。だから、同社はシャープなエッジが美しく魅力的な魂動デザインを維持している。CX-3とCX-5、そして米国仕様CX-9を見れば、CX-8のラインやカーブがどこから来たかは明らかだ。とにかく、今日本の市場にある日本車の中でもっともカッコいいのは、魂動デザインだ。

CX-8の室内は、これまでのどのマツダのモデルに比べても上質で、高級感がある。運転席に座ると、まるで大型SUVのように感じる。ダッシュボードはゆったり、センターコンソールも幅がある。そして4つの吹き出し口は、まるでもっと高価なドイツ車のようだ。

1列めと2列めの座席は、レッグルームもヘッドルームもたっぷりとしている。それに比べると3列めはレッグルームが狭くなっているので、身長175cm以上の人はここに座らないほうがいい。とはいえ、3列めも決して補助席ではない、しっかりしたシートが設えられている。



エンジンは、2.2Lのスカイアクティブ・ターボ・ディーゼルで、これまでマツダのSUVに採用されてきたものと基本的には同じだが、戦略的にアップグレードされている。CX-8は、同社が「急速多段燃焼」と呼ぶ新しいエンジンを搭載する。これは、燃料を高圧で微小な霧にしてシリンダーに高速で吹込むシステムで、マツダによれば燃料効率がよく、エンジン・ノイズと排気を効果的に軽減しているそうだ。

マツダが誇る性能をすべて確認したわけではないが、まず確かなことは、CX-8の室内はロードノイズや風切り音の侵入が少なく、静粛性が高いこと。そして、車重が1800kg以上のクロスオーバーとしては燃費が17km/Lと優れていることだ。190psで450Nmのトルクを発揮するCX-8は、パワーも充分だ。

CVTの嫌いな僕からもマツダの開発部に感謝したい。CVTではなくスムーズな6速ATを採用してくれてありがとう。この6速ならエンジンとちゃんと会話して、CX-8の低速トルクを上手に引っ張ってくれる。

それに、前輪駆動と4WDの2種類が用意されている。ブレーキ・フィールはしっかりと利くし、急停止しなくてはならない場合も、ピッチングは最小限だ。

外観デザインと同じく、現在のマツダ車は性能がよいことも広く知られている。そして、CX-8もその例にもれない。乗り心地はCX-5を大きくしたように快適で、ステアリングの重さもちょうどよく、ほとんどアンダーも出ずボディロールもわずかだ。どうしてそんなに優秀なのか。それを可能にしている「魔法」が、最新テクノロジー、Gヴェクトリング・コントロール(GVC)だ。

マツダによれば、これが安定性を向上させ、ドライバーの作業を減らし、乗員にとっては乗り心地がもっとよくなる技術だ。実際、2時間以上運転した後の疲労も、いつもより少なかった感じだ。しかも、僕が試乗する際に3列目のシートに座ってみてくれた身長175cm弱の同僚も、ストレスを感じないし車酔いしないと言っていた。車体をできるだけ水平に保ち、ロールやピッチングを軽減するGVCテクノロジーの効果だ。だから、後の席に乗った子供がクルマ酔いしにくい。これが、親世代がCX-8を選択するもう1つの理由だ。

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前輪駆動仕様が356万円からという価格設定も、CX-8が市場でユニークなポジションを独占する理由でもある。実は今のところ、CX-8は日本国内、ちょっと大きいCX-9がアメリカで販売されているが、どうもマツダ人気が高いオーストラリアが、革新的なCX-8の評判を聞いて触手を伸ばしているらしい。そりゃそうだろう。輸出しなくちゃ、もったいないよ。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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