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2018.02.22

「インスタ映え」は悪なのか? 韓国にみるミュージアム型ショップとは

韓国にある「tamburins (タンブリンズ)」

先日韓国に行ったとき、若者に注目されている流行りのショップを紹介してもらった。すると、その全てにユニークな共通点があった。ショップの中に、いわゆるアートスペース、フォトスポットを保有するお店ばかりだったということ。しかも、それは日本で考えられるような平面的なものではなかったのだ。

立体的かつフォトジェニックなショップ

たとえば、グローバルでカルト的な人気を誇る韓国発のアパレルブランド「ADER ERROR(アダーエラー)」。

ジェンダーレスなアイテムやスタイリングを提案し、また、20人近くのデザイナーが全員が匿名であるという謎に包まれた「クルー」感が、現在のストリートシーンに好まれているブランドだ。SNSの総合フォロワー数は50万にものぼり、韓国のみならず、日本の若者にも支持されている。

ADER ERRORの旗艦店は弘大(ホンデ)という若者の街にある。そして、ショップづくりには目を見張るものがある。店内の一角には当然洋服が並んでいるのだが、一方で、洋服が一切並ばない美術館のようなスペースが広々と広がっているのだ。

上下逆転したような部屋、アンティーク家具の置かれた部屋など、いわゆるフォトジェニックな部屋が3室ほど並び、若い女の子たちが一生懸命スマートフォン片手に写真撮影をしていた。



ADER ERRORは、ハンドソープを販売する「Day After Day」というライフスタイルブランドも保有している。その店舗はもはや、ショップの域を超え、美術館+エンターテインメント空間となっている。

鏡張りの空間、トイレの中に石鹸が山積みになっている部屋、便器の中で花が咲いているような演出など……。言わずもがな、若い女の子たちで溢れかえり、みな長時間入り浸り、あらゆる角度で写真を撮り合っていた。



このショップに訪れていた人たちは、買い物をしている人より、撮影しに来ている人たちの方が多かったように感じる。旗艦店というだけあり、彼らの世界観を伝えるショップであり、購買機能を期待していないようにも感じられた。もちろん私も撮影し、しっかりインスタグラムに投稿をした。


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文=石井リナ

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