AIの進歩で激変 就職・採用活動の未来

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さまざまなテスト

アムステルダムを拠点とする設立5年のハーバー(Harver)は、採用企業が選んだテストを求職者に実施し、企業が求める人材との合致率を見極めるサービスを提供している。同社の顧客はネットフリックスやブッキング・ドットコム、オープンテーブル、ザッポスなどだ。

創業者のバレント・ラーフCEOは「多くの人は、実際の職務を全く理解しないまま仕事に応募している」と話す。同社は顧客企業と協力し、仕事に合う人材を予測するアルゴリズムやテストを設計。求職者は、応募とテストのプロセスを踏むことで職務の概要を理解できるようになっている。ラーフによると、将来的には不採用となった候補者に、他社の適切なポジションを紹介できるようにする予定だ。

人材の評価手法が今よりも強化されるにつれ、採用責任者の仕事が楽になる一方、採用の最終判断には人間的な要素が必要になる、とラーフは述べている。

深い理解を通して効率改善

ビジネス向け交流サイト(SNS)リンクトインのジョン・ジャーシン上級ディレクター(プロダクトマネジメント担当)によると、同サイトではAIを活用して求職者や採用企業のデータに加え、5億人を超える登録ユーザーの情報をふるい分けており、「採用の中核商品ではすでに50%の効率改善が見られた」という。

それでも現在の採用活動はいまだに非効率的だとジャーシンは語る。求職者は仕事を見つけるまで多くの企業に応募し、企業は大量の候補者をふるい分けなければならない。「現在のAIの取り組みを通して、どういう人材が合うのかをより良く理解し、予測できるようになれば、より早い段階で企業と人材の正しい引き合わせができ、間違いが減る」

将来は、AIと機械学習が人材と企業の引き合わせ作業を効率化することで、退屈な作業時間が減り、対面での面接に使う時間が増えるとジャーシンはみている。これは両者にとって理想的だ。しかし、AIだけでは簡単に測れない要素もある。「職場が感情的にしっくりくるか、仕事で満足感が持てるか、一緒に働きたいような人が働く職場かといった点が常に重要になる」

編集=遠藤宗生

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