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2018.02.18

「慰安婦」認識の日米ギャップとサンフランシスコの慰安婦像

Photo by Justin Sullivan/Getty Images


第5に、「慰安婦」問題は日本では主として歴史問題として扱われているが、他国、特にアメリカにおいては人権や女性の権利の問題として見られている。

そして、10月に有名なハリウッドのプロデューサーであるハーヴェイ・ワインスタインが、数多くのセクハラの訴えの結果、会社を解雇されてから、40人以上の著名な米国人男性が、言葉または身体的に女性にセクハラをしたとして解雇されるか、厳しい批判に晒されている。それは経済界、政界、マスコミ、スポーツ界に広がっている。

過去に男性からセクハラを受けたのに沈黙していた多くの女性が公に名乗り出て、その男性を公表し、糾弾している。ツイッターでの「#MeToo(私も)」キャンペーンに勇気づけられてのことである。これは、女性が男性優位社会に対して権利を主張する革命的で不可逆的な進歩であると多くの人が考えている。

こうした流れの中で、日本がこの問題を「慰安婦」の正確な数や日本政府による「強制」の有無に関する議論として主張しても、海外からの支持を得ることは難しいだろう。1996年1月4日、国連人権委員会は、ラディカ・クマラスワミ特別報告者による「戦時中の軍の性的奴隷問題について」の報告書を発行した。もし日本政府が当時自らの立場を積極的に主張していれば、世界の世論を味方に付けることができたかもしれない。

しかし過去20年の間に、世界中で女性の権利の主張が今までにないほど強くなっており、最近のワシントン・ポスト紙に、「なぜ、日本が植民地時代の『慰安婦』像の論争で敗れ続けているのか」との見出しが出るほど状況は変わっている。

編集=フォーブス ジャパン編集部

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