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ゴルフ場を囲む海には多くの船が活発に行き交う。かつてスペインの無敵艦隊が通行し、イースター蜂起の際に義勇軍が上陸したという歴史をもつ。映画の撮影場所にもなった。

プロゴルファーかつゴルフ場設計家、さらにビジネスマンとしても有名なアーノルド・パーマーの最高傑作とされるトラリー・ゴルフ・クラブ。 「The King」のニックネームを持つ彼が、美しい景色と古い歴史をもつ地に作り上げた「白砂浜の至宝」の魅力とは。


アイルランドの南西、ケリー州のディングル半島にあるトラリー・ゴルフ・クラブは、1896年に、トラリーのそばのマウントホークという場所に9ホールで開場した。現在、その跡地は「sports field」、いわゆる運動場として使われているそうだ。

1921年3月にはロイヤルアイルランド陸軍のマッキノン大佐がゴルフプレー中に射殺されるなど、多くの困難な事件を乗り越え、80年にバローの土地を購入して移転。84年に、アメリカの国民的スターであるアーノルド・パーマーに設計を依頼して、世界的な名コースへと変身を遂げた。開業当初120名だったメンバーも、現在は1300名まで増えている。

ゴルファーとしてのアーノルド・パーマーを今更紹介する必要はないであろうが、彼は設計家、ビジネスマンとしても類稀なる成功者だ。

そのゴルフ設計の神髄は「strategic(戦略的な)、sustainable(持続可能な)、sublime(雄大な)」という3点に絞っているところにある。また、多産の設計事務所として、アメリカだけでなく世界中に数多くのゴルフ場を設計している。そのなかでも結局、トラリーが彼の代表作であることは疑いの余地がないであろう。ケビン・スタドラーは「世界三大リンクスを挙げるとすればペブルビーチ・ゴルフリンクス、スパイグラス・ヒル・ゴルフ・コース、そしてこのトラリーだ」とまで言っているほどだ。

ゴルフ場の公式ウェブサイトを見ると、コースの特徴として、見上げるほどのバンカー、起伏が激しくアンデュレーションも難しいフェアウェイ、懲罰的なラフ、崖の上に立つティーグラウンドとグリーンなどが挙げられている。しかしその美しさは、技術的なタフさを優に超える、それは見事なコースだ。

1番ホールから2番ホールにかけて見渡せる白い砂浜は、70年にアカデミー賞の撮影賞を受賞した「ライアンの娘」という映画に出てくるシーンとして有名であろう。あの「アラビアのロレンス」を製作したデービッド・リーン監督の作品だ。アイルランド独立戦争前の寒村を舞台に、駐在するイギリス軍将校と人妻の許されない恋愛を描いた物語である。撮影場所となったこの地の風景の素晴らしさが、映画を際立って香り高い作品に仕上げているといっても過言ではない。



3番ホールのグリーン奥には、1190年にまで起源を遡る由緒正しい塔があり、大変趣のある景色である。9番ホールのティ-グラウンドから見える小さな湾・通称「Randy」は、かつて密輸業者が隠れて住んでいたといわれているほど穴場的存在である。

文=小泉泰郎

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