こうした中国政府の努力は、最近になって結実し始めている。2017年末には、グーグルが公式ブログを通じて、「グーグルAI中国センター」を北京に設立する計画だと明らかにした。グーグルがアジア地域にAI研究所を立てるのは今回が初めてとなる。
中国出身で、その新しい研究所を率いることになるグーグル・クラウドのチーフサイエンティストFei-Fei Li氏は、ブログの中で「2015年の世界100大AI学術誌の内容のうち、中国科学者の貢献が43%にのぼる」と、グーグルの中国進出が必然的な結果だと強調。中国は14億人の人口が絶えず新しいデータを生み出す国でもある。中国政府はそのアドバンテージ利用しつつ、強力な支援政策を敷き、近いうちにAI市場で米国に追いつくと公言している。
一方、英国政府も2017年10月に「英国AI産業育成」という報告書を発表し、18の勧告を示した。主な内容としてはまず、「産業戦略チャレンジファンド(industrial strategy challenge fund)」を通じて、今後4年間で47億ポンドをAI研究に投資。新たな雇用を創出するというものだ。
また、大学内に修士号・博士号課程を大幅に増設しつつ、一般の人々も簡単にAIにアクセスできるようオンライン教育を強化するとしている。加えて、アランチューリング研究所とのパートナーシップを通じて、国際的なフェローシッププログラムを開発し、世界のすべての専門家に開放しようという内容を盛り込んでいる。
日本では、「人材育成タスクフォース」「第4次産業革命人材育成推進会議」などで、優秀な人材を確保するための議論を進めており、2020年までにAIを含むICT分野の人材を約4万8000人確保することを目標としている。
AI競争がより加熱していくことが予想される2018年。人材争奪戦はますます熾烈になっていくだろう。AI人材を発掘・育成できる方法をいかに確立するかが、ビジネスの成否を分かつ要因になるかもしれない。
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