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地方発イノベーションの秘訣


民間レベルでもICTの普及が着実に進んでいる。全国土に光ファイバーケーブルが敷設され、国民の携帯電話の普及率は75%に達する。電力網は国土の4割しか普及していないが、電気の通っていないところでは、基地局でディーゼル発電機が稼働することで人々に電波を届けるのだ。

しかも、携帯電話といっても首都キガリなどでは、ほとんどがスマホだ。街中を移動したいときは、スマホアプリでバイクタクシーを呼んで、オンラインで支払いまで済ませる。ATMが普及せず、ネットバンキングもないルワンダでは、携帯電話でのウェブマネー決済が一般化しており、小さな個人商店でさえも利用できる。

米有力ベンチャーキャピタル「500 Startups」との連携を起爆剤に、イノベーション都市を目指す神戸市は、ルワンダとの間でもICT分野でのビジネス交流を始めた。きっかけは、市内にある神戸情報大学院大学の存在だ。同校はICTでの社会課題解決をモットーに掲げ、ルワンダからの留学生が12名在籍している。日本国内のルワンダ人が約30名であることを考えると、神戸におけるルワンダ人の比率は特別だ。

彼らは日本政府による国費留学生であり、元官僚や起業家など優秀な人物ばかり。日本政府は、2013年に開催した第5回アフリカ開発会議(TICAD V)で提唱した、アフリカの優秀な若者を日本の大学院修士課程で学ばせる人材育成プログラム「ABEイニシアティブ」を進めている。約5年間で1000人の留学生を受け入れる計画であるが、同時に彼らを国内の民間企業でインターンシップとして受け入れ、民間企業のアフリカでのビジネス発掘につなげる狙いもある。

2040年には、アフリカの人口が世界の4分の1を占めるという予測もあるが、この成長力に魅力を感じた神戸市は、アフリカ人留学生の受入れを契機に、アフリカでの人材育成とビジネス機会の発掘を方針に据えた。2016年には久元喜造市長がルワンダを訪問し、キガリ市との間でパートナー協定を締結するなど着実に足がかりを築いている。


久元市長が率いた初回のビジネスミッション

神戸市のルワンダへのビジネスミッションの呼びかけに対して、参加した民間企業は15社を超える。現地に代理店を置いてビジネス展開を始めた企業、ソフトウェアの開発業務を委託・発注した企業も出てきた。

アフリカとのビジネスというと、商慣習や治安といったこれまでも語りつくされた問題点と、ラストフロンティアとしての漠然としたチャンスは誰もが知るところだが、果たして本当にビジネスの舞台としての魅力は存在するのであろうか。次回は、私が実際に現地で見た、ルワンダという国が持つ驚異のポテンシャルについて、レポートしてみたい。

多名部 重則の「神戸市が500 Startupsと組む理由」
過去記事はこちら>>

編集=フォーブス ジャパン編集部

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